マーケティング3.0 の時代【世界を変えるCSV戦略】

マーケティング3.0 でCSV 市場を創造する

現在は、市場がさらに進化し、消費者が製品に対する知識や経験を持つようになり、それがソーシャルメディアなどを通じ幅広く共有されるようになっています。こうした消費者が力を持つ時代には、製品・サービスの開発や販売において、消費者の共感を得て協力してもらい、その力を活用することが求められます。

また、経済が発展する一方で、人々が人間的なつながりを求めたり、自己実現などの精神的充足を求めたり、環境や社会の持続性に不安を覚えたりしています。こうした欲求に応えるには、人々を単に消費者とみなすのではなく、マインドとハートと精神を持つ全人的な存在と見なすことが必要です。

このように消費者の知識や意識が高度化した時代には、企業のほうも一段高い視座を持って、自社が如何に社会に価値を提供していくかを伝える必要があります。

企業のミッション、ビジョン、バリューを通じて自社の社会的価値を明確にすることが求められます。そして、社会に価値を生み出す製品・サービス、CSR 活動、消費者との対話を通じ、消費者のハートに訴えかけ、感情的な結びつきと長期的な信頼を獲得し、協力者となってもらうことが求められます。これを実践するのが社会志向のマーケティング3.0です。キークエスチョンは、「如何に社会(人々)の共感を得るか」です。

CSVの実践には、社会と企業の両方に価値を生み出すイノベーションとともに、マーケティング3.0 が必要です。社会にとっての価値と顧客にとっての価値を明らかにする。自社が生み出す社会価値をストーリーにして消費者の問題意識、貢献意識、感情に訴えかける。共感してくれる消費者との協働で社会に価値を広げていく。そうしたマーケティング3.0 がCSV の市場を創造していく時代になっています。

【みずかみ・たけひこ】東京工業大学・大学院、ハーバード大学ケネディースクール卒業。旧運輸省航空局で、日米航空交渉、航空規制緩和などを担当した後、アーサー・D・リトルを経てクレアンに参画。CSR/サステナビリティのコンサルティングを主業務とする。

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第8号(2013年5月7日発行)から転載しました)

水上 武彦氏の連載は毎月発行のCSR担当者向けのニュースレター「CSRmonthly」でお読みいただけます。詳しくはこちら

editor

オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

執筆記事一覧
キーワード:

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..