記事のポイント
- 東京チェンソーズは12月、「クリスマスツリー」を制作するイベントを開く
- ツリーの素材として、市場に出回らない「未利用木材」を活用する
- イベントを通して、林業が抱える課題や魅力を周知することを目指す
東京都檜原村の林業会社・東京チェンソーズは12月、「クリスマスツリー」を制作するイベントを開く。東京・品川や渋谷などで、4回に分けて開催する。森に放置されている「未利用木材」をツリーの素材に使う。イベントを楽しむことを通して、林業が抱える課題や魅力の周知を目指す。(オルタナ編集部=松田 大輔)
東京チェンソーズは、ソーシャルビジネスを手がけるSIGNING(サイニング、東京・港)と共同で、クリスマスツリーを制作するイベントを開く。
12月8日(日)には東京・品川の「品川区立環境学習交流施設エコルとごし」、14日(土)は千代田区の「SusHi Tech Square」、15日(日)は渋谷区の「景丘の家」、21日(土)は昭島市の「モリパーク アウトドアヴィレッジ」で開催する。
「未利用木材」とは、市場に出回らずに放置された木材のことだ。市場では規格にあった木材を求められるため、枝葉や根、幹が細い部分などは市場に出すことができず、森に放置されてしまう。現状では木1本を収穫しても50%ほどしか市場に販売できない。
クリスマスツリーの制作に使うのは、スギやヒノキの「うらっぽ」という部分だ。木の先端部分で、幹が細くなるためこれまで販売することができなかった。
東京チェンソーズ・森林サービス事業部の林英子氏は、「新しい試みだ。イベントを通して、林業が抱える課題についても知ってほしい」と語る。
林業の大きな課題の一つは、木材価格の低下だ。ヒノキの市場価格は、太い幹の部分が4㍍で約4500円。スギは4㍍で3000円ほどだ。海外から安価な木材が流入してきたことが原因と指摘される。
利益を出すことが難しいため、林業の担い手が不足している。担い手がいなければ、管理されない森林が増え、土砂崩れや自然災害のリスクも高まる。
こうした状況を変えるため、東京チェンソーズは木材の付加価値を高めることに取り組む。枝葉や根、木の先端部分など、現在放置されている「未利用木材」を活用することで、木1本の価値を高めることを狙う。
林英子氏は、「東京に林業の会社があることを知らない人も多い。ツリー作りを楽しむことを通して知ってもらい、林業について考えるきっかけにもできれば」と話した。