いかにグローバルでビジネスと人権を推進するか、「ビジネスと人権フォーラム」最新レポート――下田屋毅の欧州CSR最前線(42)

Takeshi Shimotaya for Alterna国連主催の第3回目となる「ビジネスと人権フォーラム」が2014年12月1~3日にスイス・ジュネーブで開催され、昨年に続き筆者も参加した。このフォーラムは、2011年6月に国連人権理事会において承認された保護、尊重、救済のフレームワークである「国連ビジネスと人権に関する指導原則」の普及を目的として、2012年から年次開催されている。2012年は1000人、2013年は1700人と参加登録者は年々増え、本年は2000人と関心が高まっているのを実感した。(在ロンドンCSRコンサルタント・下田屋毅)

この「国連ビジネスと人権に関する指導原則」は、全ての国家と全ての企業に適用され、「国家による人権保護の義務」「人権を尊重する企業の責任」「企業活動による人権侵害を受けた者への救済」の「保護、尊重、救済」の3つの柱をフレームワークとして、国家と企業が実施することを明確にし、31の「原則」に整理されたものである。

ビジネスと人権フォーラムは、次を主要目的としている。

1)世界の全地域からのステークホルダーに対し、「ビジネスと人権」に関する対話のための主要な会合場所を提供する。
2)指導原則を世界に拡散し実施の促進、また効果的で包括的なエンゲージメントの強化。
3)指導原則の実施にあたりトレンドと課題、模範事例を見つける手助けをすること。

2014年のフォーラムのテーマは「グローバルにビジネスと人権を推進する:調整・順守・説明責任」。議長は、アフリカ出身のイブラヒム財団議長、モー・イブラヒム博士が務め、ユーモアを交える話ぶりの中に議長としてのリーダーシップを発揮するものだった。

開会式では、企業側の代表としての講演とパネルディスカッションがあり、ユニリーバのポール・ポールマンCEO、ネスレのポール・ブルケCEOらがそれぞれ基調講演を行い、企業が推進するビジネスと人権の指導原則についての先進的取り組みを伝えた。ビジネスを行う上での人権の尊重、人権に対する配慮の継続性、そしてトップがコミットメントし、そのリーダーシップを表すことの重要性を訴えた。

■ 多国籍企業の人権侵害をいかに防ぐか

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下田屋 毅(CSRコンサルタント)

欧州と日本のCSR/サステナビリティの架け橋となるべく活動を行っている。サステイナビジョン代表取締役。一般社団法人ASSC(アスク)代表理事。一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。執筆記事一覧

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