米の24州・準州が「パリ協定の目標達成目指す」と国連に書簡

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記事のポイント


  1. トランプ大統領は、政権発足の初日にパリ協定からの離脱を発表した
  2. これを受け、米国気候同盟は「引き続きパリ協定の目標達成を目指す」と国連に書簡を提出
  3. 米国気候同盟は、米経済の約6割を代表する、米国24の州・準州の知事による連合だ

米国でトランプ政権が発足した1月20日、公約通り、米国がパリ協定から離脱する旨を発表した。これを受け、米国気候同盟は、「パリ協定の目標達成と気候汚染の削減に向けた米国の取り組みを継続していく」と声明を出し、国連気候変動事務局長に書簡を提出した。米国気候同盟は、米国の24州・準州の知事による超党派連合で、これらの州は米経済の約6割、米人口の約55%を占める。(オルタナ副編集長=北村佳代子)

米国気候同盟は、米国の気候変動対策を継続する旨、国連に書簡を提出した
(写真提供:US Climate Alliance)

米国気候同盟は、第1期トランプ政権がパリ協定からの離脱を発表した2017年に発足した。米国気候同盟は、今回のパリ協定の離脱にも十分な備えができているとし、米国憲法が定めた州知事が持つ幅広い権限の下で、革新的で影響力のある気候変動対策を推進し続けるという。

国際社会に対し、2025年にブラジルで開催予定の国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)を含め、気候変動対策の進捗状況を報告していくことも約束した。

現在、米国の州・準州は、2025年までに温室効果ガス(GHG)の総純排出量を2005年比で26%削減するという短期的な気候変動目標の達成の軌道に乗っているという。そして、2030年までにGHGを少なくとも50~52%、2035年までに61~66%削減するとの米国の長期的な公約についても「背を向けるつもりはない」とし、前に進めることを約束した。

米国気候同盟はトランプ大統領就任前から、「アメリカ・イズ・オール・イン」(AIAI)や、クライメート・メイヤーズ(環境を考える市長の会)などの主要な気候変動連合とともに、気候変動対策を継続する米国の意思を表明してきた。なかでもAIAIは全米最大の気候有志連合で、マイクロソフトやテスラ、カリフォルニア州、ニューヨーク市など5000以上の企業・自治体が加盟する。

参考記事:米国の気候有志連合、「トランプ政権でも決して後戻りしない」

米国気候同盟は、共同議長のキャシー・ホーコール・ニューヨーク州知事とミシェル・ルハン・グリシャム・ニューメキシコ州知事の名で、国連のサイモン・スティール気候変動事務局長に書簡を提出した。

なお、米国気候同盟のメンバーとなっている州・準州は以下のとおり。
アリゾナ州、カリフォルニア州、コロラド州、コネチカット州、デラウェア州、ハワイ州、イリノイ州、メイン州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ミシガン州、ミネソタ州、ニュージャージー州、ニューメキシコ州、ニューヨーク州、ノースカロライナ州、オレゴン州、ペンシルベニア州、ロードアイランド州、バーモント州、ワシントン州、ウィスコンシン州、プエルトリコ、グアム

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

オルタナ副編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部。

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キーワード: #脱炭素

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