統合報告書レビュー(38):レゾナックホールデイング

サステナX

記事のポイント


  1. レゾナックの経営戦略は「世界トップクラスの機能性化学メーカー」
  2. 人事戦略の根底に「共創型人材の創出」「企業文化の醸成」を置く
  3. 経営戦略と人事戦略の合致で化学産業他社との差別化を図る

レゾナックは「共創型化学会社」「 世界トップクラスの機能性化学メーカー」実現を経営戦略とし、「共創型人材の創出」「企業文化の醸成」を人事戦略の根底と定めています。その為に職種毎のスキルやコンピテンシーを定義し、求める人材の充足状況に応じた人員計画を策定しています。コア成長事業である半導体事業を担うエレクトロニクス事業本部では、目標と現状のギャップを認識し、5年後の開発エンジニアの育成を採用やリソースシフトで図ります。(オルタナ総研フェロー=室井 孝之)

レゾナックは統合報告書の表紙に社員の写真を並べて多様性を強調した

同社は社会課題の解決に向け、社内外の人々と自律的につながり、共創を通じた創造的な変革と課題解決を目指します。「共創型人材の創出」「企業文化の醸成」を人事戦略の根幹に置き、同社の価値の源泉であると考えています。

幅広い技術プラットホームをベースに、異なる技術を組み合わせ「機能」を生み出す各事業のありたい姿を実現するため、職種別に求められるスキルやコンピテンシーを整理・定義しました。求める人材の充足状況に応じた人員計画を策定しています。

半導体事業向けの独自の人財ポートフォリオモデルを策定した

コア成長事業である半導体事業を担うエレクトロニクス事業本部では、開発エンジニアの役割を細分化し、独自の人財ポートフォリオモデルを策定しました。これを基に、5年後の目指すべき事業の人員構成を定め、現時点のギャップを明らかにしたうえで、採用・リソースシフトなどに依りエンジニアを育成しています。

「キャリアのオーナーは従業員」という考えのもと、個々の目指す方向性に応じた多様なキャリアパスや教育の機会を用意するほか、社内外のつながりを支援するさまざまな仕組みを構築しています。

マネジメント層では、共創型リーダーシップトレーニングを実施し、心理的安全性を担保しながら、360度サーベイを行っています。自分に対する周りからの見方がどれ位変わったかなどを学習します。

全レゾナックグループを対象とした施策では、事前エントリー制のグローバルアワード「AHA!(Awards of Harmony)」を実践しています。

共創型人材の創出につながることを意図して運営されており、所属部門の垣根を超えたメンバーによって構成されたチームが、同社のパーパス・バリューを踏まえた行動宣言を策定し、それに基づいて目標と具体的な取り組み内容を定めるもので応募は自薦です。

同社は、経営戦略である「世界トップクラスの機能性化学メーカー」を「共創型化学会社」として実現を目指します。そのために「個の能力」を伸ばし、固有の「組織文化」を醸成するという人事戦略を合致させることで、競合他社との差別化を図る方針です。

muroi

室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

執筆記事一覧
キーワード: #ジェンダー/DE&I

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..