水上 武彦(株式会社クレアン)
5月13・14日に、ニューヨークで開催された「シェアード・バリュー・リーダーズ・サミット2014」およびその翌日に開催されたシェアード・バリューを推進する世界のコンサルティング会社の会合に参加してきました。最近、海外では、CSVではなく、シェアード・バリューという言い方が一般的になっています。
CSRとの混同を避けるためと、CSVファイルという別の言葉がすでに存在するためです。「サミット」は、そのシェアード・バリュー最大のイベントで、今年が4回目です。
毎年、マイケル・ポーター教授の基調講演から始まるのですが、今年は、政府・NGOとのパートナーシップ、採掘産業など最近の企業事例、製品ではなく目的によるポジショニング、投資方法の進化などの話がありました。
■資家視点の重視
「投資家の視点」は、今年のサミットの最大の特徴と言えるかもしれません。シェアード・バリューの推進において「投資家の理解がなかなか得られない」という声がある一方、投資家側に非財務情報を重視するなどの動きがあることを受けて、投資家をシェアード・バリューにどう巻き込むかが重要テーマとなっています。
ポーター教授の講演では、株主へのリターンが明確でないサステナビリティ・インベストメント、特定の企業のみが対象となるインパクト・インベストメントから、社会に価値を生み出しつつ株主にリターンをもたらすシェアード・バリュー・インベストメントへの進化が必要という話がありました。
また、「シェアード・バリューと投資家視点」というパネル・ディスカッションも行われ、最近、米国で業界ごとのマテリアリティにもとづく非財務情報開示のスタンダード作りを進めているSASBのCEO、世界最大の資産運用会社ブラックロックのESG関連投資のリーダー、ネスレのパブリック・アフェアーズのグローバル・トップによる議論が、FSGのマーク・クラマー氏によるファシリテーションで行われました。