記事のポイント
- スイスで、鉄道レールの間に設置した太陽光パネルの上に列車を走らせる実証実験が始まる
- 世界初のこの試みのオープンセレモニーには関心を寄せる6か国の代表団も参加した
- 発電した電力は、線路から500メートル離れた公共送電網に供給される
スイスでは4月28日から、線路の間に設置した太陽光パネルの上で実際の旅客列車を走らせる。鉄道網を活用した太陽光発電の実証実験は世界初だ。この試みのオープンセレモニーには、関心を寄せる6か国の代表団も参加した。発電した電力は、線路から500メートル離れた公共送電網に供給される。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

両立可能かどうかの実証実験が始まる
(c) Sun-Ways.ch
スイスのスタートアップ企業サン・ウェイズ社は4月24日、鉄道レール間に設置した太陽光発電のオープンセレモニーを行った。この取り組みは国内外から注目を集め、オープンセレモニーには、スイス国内の規制当局や関係者だけでなく、同技術の自国での展開を検討するフランス、ベルギー、イスラエル、インドネシア、韓国の代表団も参列した。
サン・ウェイズ社はこれまで1年間、同国運輸局の要請に基づいて各種テスト、実測、アセスメントを実施し、実証実験に必要なすべての許認可を取得した。
今後3年間は、線路間に敷き詰めた48枚の太陽光パネルの上に旅客列車を走らせながら、パネル表面や鉄道インフラ全体への影響を見ていく。線路の間に設置した太陽光発電と、鉄道路線の運行が両立可能かどうかを評価するのが目的だ。
サン・ウェイズ社によると、スイスの全長5000キロメートルの鉄道網に同社の着脱式太陽光パネルを設置できれば、約30万世帯の消費量に相当する年間1テラ(兆)ワット時(100万キロワット)の電力を供給できるという。実現すれば、同国公共交通機関の電力需要の30%を賄え、年間20万トンのCO2削減につながる。
同社のジョセフ・スクデリCEOは、「ルナン駅のホームで線路を眺めていた時に、直感でこの構想がひらめいた。これはほんの始まりに過ぎない」と強調する。
「私たちはスイス・シエル大学と協力し、列車に太陽光発電エネルギーを直接供給する鉄道スマートグリッドの構築にも取り組んでいる」(スクデリCEO)
参考記事:スイスが鉄道5000キロに太陽光パネル、30万世帯に供給へ

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