記事のポイント
- 「TOTO水環境基金」が20周年を迎えた
- これまで国内外332団体に総額約5億円の助成金を拠出した。
- 説明会では、田村信也社長が活動の背景について語った
TOTOが2005年に設立した「TOTO水環境基金」が、20周年を迎えた。水資源や暮らしに関する活動を対象に、これまで国内外332団体に総額約5億円の助成金を拠出した。同社が7月23日に開いた社会貢献活動に関する説明会では、田村信也社長が活動の背景や今後の方針を語った。(海藤秀満)

TOTOは7月23日、都内で社会貢献活動に関する説明会を開いた。1917年の創業以来の精神「事業を通じて社会のため、人の役に立つこと」を受け継ぎ、全社を挙げて社会貢献活動を実施している旨を強調した。
会社の成長で得られる利益などを、ステークホルダーとともにTOTOの事業地域や地球規模での社会貢献活動で還元し、「企業の成長」と「社会的・環境価値の向上」の両立を目指す。社会貢献活動を通じて、世界の人々から信頼される企業を目標にしている。
2025年は「TOTOギャラリー・間(ま)」(東京)が設立40周年、「TOTO水循環基金」が20周年、「TOTOミュージアム」(北九州)が10周年の節目を迎える。今や住宅やオフィスビルでも、トイレや水まわり機器はインテリアに溶け込み、建築文化の一部になっている。
「TOTOギャラリー・間」は建築文化の発展を通して、社会に貢献することを目的に40年前に開設した。休館日には大学の講演会などに開放し、次世代の建築家の育成にも取り組む。

■ベトナムでは小学校の建設も
「TOTO水環境基金」は自社の節水商品の普及による環境への貢献と、地域社会の課題解決のための助成金による貢献で成り立つ。節水商品の販売による節水効果と株主・社員の寄付やボランティアと合わせた拠出額を算出し、これまでに国内と海外18カ所の延べ332団体に総額4億9900万円の助成金を拠出した。20周年となる25年度は総額4000万円の助成金を予定している。
2002年に設立されたTOTOベトナムでは、現地社員がベトナムに根ざした活動を続け、2017年からは老朽化した地方の小学校の建設支援を始めて、現在20校目を建設中だ。ベトナム赴任時にこのプロジェクトの立ち上げに貢献した田村社長も「現地社員の結束が強く、世の中のためになることに積極的な企業風土ができた」と誇らしげに語った。
田村社長は、「企業成長で得た経営資源を有効に活用し、社会貢献レベルをさらに高めたい。創業の魂をグローバルに広め、TOTOが世の中で必要とされる存在感を示したい」と意欲を見せた。