記事のポイント
- アメリカ・イズ・オール・インが米環境保護庁(EPA)を非難する声明を発表
- EPAが、気候政策の基盤となる公式見解の撤回を提案したことを受けたものだ
- 「科学と法の否定であり、国民の健康と安全を危険にさらす」と厳しく批判した
全米最大の気候変動対策の有志連合「アメリカ・イズ・オール・イン」はこのほど、米環境保護庁(EPA)に対し強い反発を示す声明を発表した。EPAが、気候政策の基盤となる公式見解の撤回を提案したことを受けたものだ。声明では「科学と法の否定であり、国民の健康と安全を危険にさらす」と厳しく批判した。(オルタナ輪番編集長・吉田広子)
EPAは2025年7月29日、温室効果ガスの増加が公衆衛生に深刻な影響を与えるとした2009年の公式見解「エンデンジャーメント・ファインディング」を撤回する提案を提出した。この見解は、オバマ政権下で採択され、気候変動政策の法的根拠となってきた。また、EPAは自動車の温室効果ガス排出規制の撤廃にも動いている。
こうした動きに対し、全米最大の気候変動対策の有志連合である「アメリカ・イズ・オール・イン」は強く反発している。同団体は、トランプ政権によるパリ協定離脱を受けて立ち上がった「ウィー・アー・スティル・イン(米国は気候行動に引き続き取り組む)」を母体とし、2021年に改称した。州政府や自治体、企業、大学、宗教団体など多様な非国家主体が参加し、気候変動対策を推進している。
ジーナ・マッカーシー元EPA長官(アメリカ・イズ・オール・イン共同議長)やギャビン・ニューサム・カリフォルニア州知事らが相次いで声明を発表した。気候変動による喘息や心臓病、呼吸器疾患、早死、熱波、洪水、山火事、ハリケーンといった健康・災害リスクの科学的根拠を無視するものであり、連邦最高裁判所の判例にも反すると指摘した。
「エンデンジャーメント・ファインディング」は、米連邦政府が温室効果ガスを規制する法的根拠となってきた制度で、撤回されれば、今後の気候規制が無効になる可能性がある。