もしもの際に役立つ「フェーズフリー」キャンピングカーとは

記事のポイント


  1. キャンピングカーがはじめて「フェーズフリー認証」を取得した
  2. 運転のしやすさ、非常時に活用できる太陽光パネルの搭載などが評価された
  3. 一般ユーザーのほか、企業や自治体のBCP対応への活用も期待できる

日本特種ボディー(埼玉県越谷市)が製造・販売する「エクスペディション・ストライカー」がこのほど、キャンピングカー初の「フェーズフリー認証」を取得した。同認証は平常時と非常時の区別なく使用できる製品やサービスを認証するもので、運転のしやすさを重視したコンパクトなボディや、自立発電が可能な太陽光パネルを搭載する点を評価した。一般ユーザーのほかに、企業や自治体のBCP(事業継続計画)対応への活用も期待できる。(オルタナ副編集長=長濱慎)

平常時・非常時の区別なく使用可能

「エクスペディション・ストライカー」は2024年11月の発売で、いすゞ自動車のキャンピンカー専用シャシをベースに開発した。運転台と居住空間を分離し、シャシにねじれを生じさせる設計によって、凹凸のある不安定な路面でのタイヤ接地性を高めた。

ボディサイズは普通乗用車なみの全長5メートル弱・幅1.8メートルで、最小回転半径は軽自動車なみの4.4メートル。ディーゼルエンジンにオートマチックトランスミッションを組み合せ、AT限定の普通免許で運転できる。

室内は脱着式のベッドマットや対面式のダイネット(居住部)などにより、目的に応じて柔軟にレイアウトを変更できる。

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屋根上には太陽光パネル(600W)を搭載し、車内の電源を賄う。車のメインバッテリーとは独立して稼働するため、エンジンをかけずに冷暖房を使うことができる。地震災害などによる停電時には、外部電源として周囲への電力供給も可能だ。

停電時にも活用可能な太陽光パネル

運転のしやすさを重視した設計に加えて、災害時に対応できる機能を備えた点が、フェーズフリー認証の取得につながった。開発・販売メーカーの日本特種ボディーはBCP対応に、下記のような使い方を提案する。

・企業
平常時は移動式オフィス、商談スペース、展示会などに。災害時は初動対応車両、社員の仮眠・待機場所、給電ステーションに活用。

・自治体
平常時は観光PRや地域イベント、防災訓練、福祉・子育て支援の移動窓口、高齢者の見守り活動などに。災害時は要配慮者向け避難所や指揮本部、移動診療車に活用。

・医療・福祉機関
平常時は巡回診療や訪問看護時の控室、看護師や介護士の休憩・仮眠スペース、夜勤中の仮設休憩室などに。災害時は仮設診察所、個別支援スペースなど、要配慮者へのケアに活用。

フェーズフリー認証は、一般社団法人フェーズフリー協会が運用。同法人は2018年に設立され、社会起業家で防災・危機管理・地域活性アドバイザーの佐藤唯行氏が代表理事を務める。これまで140を超える商品・サービスに認証を付与してきた。

S.Nagahama

長濱 慎(オルタナ副編集長)

都市ガス業界のPR誌で約10年、メイン記者として活動。2022年オルタナ編集部に。環境、エネルギー、人権、SDGsなど、取材ジャンルを広げてサステナブルな社会の実現に向けた情報発信を行う。プライベートでは日本の刑事司法に関心を持ち、冤罪事件の支援活動に取り組む。

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キーワード: #SDGs

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