英国の現代奴隷法による日本企業への影響――下田屋毅の欧州CSR最前線(47)

対象は、英国で活動する企業の世界での売上高3600万ポンド(約65.5億)を超える企業で、英国と英国外の1万2千社が対象となっており、この中には、英国に子会社を持つ多くの日本企業が含まれる。そして、2016年3月末以降に会計年度が終了する企業は、それ以前の1年遡った期間における対応について、早くも2016年4月から報告が義務付けられている。

該当する企業は、「奴隷・人身取引声明」の中に以下の内容を含むこととされている。
1.組織の構造と事業及びサプライチェーン。
2.奴隷と人身取引に関連する方針。
3.事業とサプライチェーンにおける奴隷と人身取引に関連する人権デューディリジェンスのプロセス。
4.事業とサプライチェーンのどこに奴隷と人身取引のリスクがあるか、また、そのリスクに対して評価し、管理するために講じるステップ
5.奴隷と人身取引が業務とサプライチェーン上で起こっていないことを確認する方法の有効性と、その行動の業績評価指標による測定。
6.奴隷と人身取引に関する研修のスタッフへの提供

また、もし奴隷と人身取引に関して、企業がその内容を確認するステップを踏んでいない場合には、その手立てをしていないことを声明に書かなければならない。英国政府は、2015年10月29日に奴隷・人身取引声明についてのガイドラインである「サプライチェーンの透明性: 実践ガイド」を発行している。

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下田屋 毅(CSRコンサルタント)

欧州と日本のCSR/サステナビリティの架け橋となるべく活動を行っている。サステイナビジョン代表取締役。一般社団法人ASSC(アスク)代表理事。一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。執筆記事一覧

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