英国の現代奴隷法による日本企業への影響――下田屋毅の欧州CSR最前線(47)

奴隷労働としては、2022年にサッカーのワールドカップの開催が決定したカタールでは、建設現場での出稼ぎ労働者の人権侵害、女性の出稼ぎの家事労働者の強制労働・人身取引、肉体的・性的な暴力などの虐待を受けていることが報告されている。このような現代の奴隷労働によって準備が行われているワールドカップ・カタール大会のスポンサーは、既に非難されるなど関係する企業への風当たりは強くなっている。

そして、日本でも、オーストラリアの人権NGO「ウオーク・フリー・ファウンデーション(WFF)」によると推定23万7千人が既に奴隷労働をしているとされている。東京オリンピックを5年後の2020年に控え、日本企業が関わる現代奴隷制については、より国際的に注目され確認する必要に迫られることが予想される。

このような世界の動向を踏まえ、企業は、サプライチェーンも含めて、現代の奴隷制について特定する努力を始めるなど、ビジネスと人権に関する問題についての認識をより深め行動を起こすことが求められている。

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下田屋 毅(CSRコンサルタント)

欧州と日本のCSR/サステナビリティの架け橋となるべく活動を行っている。サステイナビジョン代表取締役。一般社団法人ASSC(アスク)代表理事。一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。執筆記事一覧

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