記事のポイント
- 三井住友FG、富士通、ソフトバンクが健康・医療分野での業務提携で合意した
- 持続可能な医療の実現に向けて国産のヘルスケア基盤をつくり上げる
- 健康寿命延伸、医療機関の経営効率化、医療費抑制に向けて協働する
SMBCグループ、富士通、ソフトバンクは、健康・医療分野での業務提携に合意し、持続可能な医療の実現に向けて国産のヘルスケア基盤の構築を目指す。3社の強みを発揮して、民間主導で国の医療デジタル化政策との整合性を踏まえた拡張性のある枠組みの実現に向けて動き出す。患者と医療機関、国が効率的な医療提供を享受でき、将来的な医療費の抑制につなげる。(経済ジャーナリスト・海藤秀満)

■民間大手3社が提携、国産ヘルスケア基盤の構築を目指す
三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)、富士通、ソフトバンクの3社は5月19日、健康・医療分野での業務提携に合意し、持続可能な医療の実現に向けて国産のヘルスケア基盤を構築すると発表した。
民間企業3社が協力して医療データを安全かつ適切に管理・活用するためのデータプラットフォームを整備し、医療データの標準化・連携を推進して様々なサービスが連携できるような基盤作りを目指す。
医療提供の効率化を図り、国民の健康寿命延伸、医療費増加傾向における費用の抑制、医療機関の経営効率化などにつなげ、持続可能な医療の実現に寄与したいという。

■3社の強みを発揮して国内医療のDX化進める
3社はそれぞれの事業の強みを発揮して協力する。
富士通はデータプラットフォームの構築を担う。国内医療機関の電子カルテでトップシェアを持ち、AI(人工知能)をはじめとする先端技術やデジタルサービスが、創薬研究からさまざまな医療データの安全かつ効率的な運用を目指す。
SMBCグループは、銀行口座数3000万の顧客基盤を背景に、お金と健康両面での安心・安全を提供できるサービスを創出したいとする。すでにOliveなどの金融デジタル事業を進め、ソフトバンクとの提携の「Oliveヘルスケア」を開始しているが、これをさらに進化させる考えだ。

ソフトバンクは、「PayPay」「LINE」「Yahoo! JAPAN」などの1億人超の利用者基盤を持つ。ヘルスケア領域における個人・企業・自治体向けの健康増進支援に関する知見を生かし、得意とする個人ユーザーアプリの開発・提供を主導する。
■健康寿命延伸、医療機関の経営効率化、国の医療費抑制への寄与目指す
厚生労働省の調べでは、2024年度、国内病院の58.9%が赤字経営だった。一方で高齢者人口の増加、物価上昇で医療費は年3%ペースの上昇が続く。
また、医療機関ではさまざまなシステムや電子カルテが混在し、個人の健康データはサービスごとに分散しているのが現状で、医療データの利活用には共通プラットフォームの整合性が求められる。
デジタル技術を活用した健康データの運用は、健康寿命の延伸や医療機関の経営効率化、将来的には5兆円規模の医療費抑制に寄与すると推察され、持続可能な医療の体制を築く。

しかし、機微性の高い個人の健康・医療データの個人情報の取り扱いは安全かつ適切に管理される前提があるので、今後法整備を含め、国との慎重な協議も必要だ。
3社の代表は、「各々ヘルスケア分野には取り組んでいたが、必然性に迫られて3社が集まった。官民協力して取り組むべき分野で、もっと多くの企業にも参加してほしい」と展望を語った。
3社は26年10月から新しい体制で事業を開始し、2035年目処に国産ヘルスケア基盤の利用目標を6000万人、4000の医療機関への導入を目指す。民間企業主導で日本に最適な医療のヘルスケア基盤作りを目指すという社会実装が始動した。



