記事のポイント
- 2026年3月期に会計不正を公表した上場企業などは40社だった
- 全体の約75%が「粉飾決算」であり、残りの約25%は「資産の流用」である
- 日本公認会計士協会は、「粉飾決算」を財務諸表の利用者を欺く行為と諫めている
日本公認会計士協会(JICPA)が7月15日に公表した「上場会社等における会計不正の動向(2026年版)」では、2026年3月期に会計不正を公表した上場企業などは40社、全体の約4分の3を粉飾決算が占めていた。同協会は「粉飾決算」を「会社の業績や収益力について財務諸表の利用者を欺くために、経営者などが利益調整を図ることを目的として行われる」と厳しく諫めている。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

本研究資料は、近年の会計不正の動向を適時に開示するため、上場会社及びその関係会社が公表した会計不正を集計し、取りまとめたものである。
JICPAが公表する「上場会社等における会計不正の動向」の最新版(2026年版)によると、2026年3月期に会計不正を公表した上場企業などは40社だった。
前年(56社)からは5年ぶりに減少したものの、全体の約4分の3を「粉飾決算」、残りの約4分の1が「資産の流用」が占めるなど、依然として高い水準で推移している。
発覚経路は「当局の調査等」が最も多く、次いで「内部統制等」「内部通報」の順となっている。
「上場企業において発生した粉飾決算・誤謬(ごびゅう)の具体的事例」は、「現金の横領」「役員の不正関与」「海外子会社で発覚した会計不正」など6例が紹介されているが、その1例(複数の会計不正)は次の通りである。
「会計不正事例の紹介(複数の会計不正)」
「A社では、社内調査において、グループの国内外にわたる複数拠点で、資産性に疑義のある資産の滞留や、A社経営陣によりその処理時期が恣意的に検討されていたことを示唆する資料が発見された。調査の結果、創業者X氏を起点とした過度な業績目標達成のプレッシャーを背景に、売上の前倒し計上、棚卸資産の評価減回避、固定資産の減損回避、費用の不正な資産計上、引当金・負債の過少計上など、不適切な会計処理が複数拠点において継続的に行われていたことが判明した。
また、不適切な会計処理により生じた不良資産は社内で問題視されていたものの、処理費用を各事業部門の業績に織り込むことが原則とされていたことから、その処理は進まなかった。加えて、X氏の指示に基づき実施された非公式な調査において不正が発見されていたにもかかわらず、内部監査部門や会計監査人には共有されず、是正が先送りされていた。 その結果、A社の連結財務諸表において、本来計上すべき費用や損失が適切な時期に反映されない状態が継続し、複数年度にわたり財務数値の正確性を欠く会計処理が行われていたことが確認された」
JICPAは、「粉飾決算」を「会社の業績や収益力について財務諸表の利用者を欺くために、経営者等が利益調整を図ることを目的として行われる」と諫め、「資産の流用」を「資産の紛失や正当な承認のない担保提供といった事実を隠蔽するための記録又は証憑書類の偽造」と断じている。



