バングラデシュの最低賃金引き上げデモが問う法整備

国家も企業も「労働者の権利」を守る義務がある

バングラデシュで2016年12月、最低賃金の引き上げを訴える労働組合や労働者のデモが行われた。その背景には、バングラデシュの労働者の最低賃金が世界で最も低いことがある。

バングラデシュの警察は、デモが「一部暴力的に引き起こされている」という理由から、ゴム弾を使って抗議をする群衆を解散させ、約30人の労働組合リーダーや労働者を逮捕、投獄した。さらにデモに参加したという理由で、少なくとも1500人の労働者が59の工場から一時解雇を通告される事件が発生している。

繊維産業は、バングラデシュ経済を担う一大産業で、多くの国民が従事する産業でもある。しかし過去には、非常に多くの労働者に対する強制労働などの人権侵害が行われており、建築基準を満たさず、防火設備が整っていない建物の中で働かされ、度重なる火災によって死傷者が発生していた。

読者の方でご存知の方もいらっしゃると思うが、バングラデシュのダッカ近郊で、ラナプラザという縫製工場が入ったビルが2013年4月に倒壊した。強制労働下で働かされていた労働者1134人が死亡、2500人以上が負傷するという事故が発生している。

この大災害は、大規模な抗議と業界の国際的な監視を引き起こした。工場に対する建築基準や防火基準の引き上げを行うとともに、バングラデシュの繊維労働者の月間の最低賃金が引き上げられた。しかし、それでも最低賃金設定は未だに世界で最も低く、労働組合や労働者は最低賃金の引き上げを求めてデモが行ったのである。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #CSR

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