最近、企業のCSR担当部署が「サステナビリティ(推進)部」などと名称変更するケースが増えてきました。もちろんそれ自体は悪いことではないのですが、サステナビリティとCSR/CSVの位置づけをしっかり理解しておかないと、さまざまな混乱が予想されます。そこで、両者の関係性を改めてまとめてみました(オルタナ編集長・森 摂)。
1)サステナビリティは「ビジョン」「あるべき姿」「ゴール」です。
サステナビリティ(持続可能性)は、企業がそこに向かってベクトルを定める、行き先です。具体的には、「2030年にはこうありたい」「2050年にはこうありたい」という姿です。こうしたサステナビリティを実現するために、企業は中長期の目標のもと、CSR/CSVに取り組み、さまざまな事業リスクを低減し、レピュテーションを高め、価値創造をしていくのです。逆に言うと、CSRへの取り組み無くしてサステナビリティの実現はありません。
2)CSR/CSVは、企業がサステナビリティを実現するための「経営ツール」です。
CSRは概ね「攻めのCSR」「守りのCSR」に分けられ、CSV(共通価値の創造)は、攻めのCSRの一部として位置づけられます。ですので、「CSRはもう古い、これからはCSVだ」と言い方は成立しないのです。また、CSVはCSRの代替にはなりません。CSRは、より大きな範囲を指し、「攻めのCSR」と「守りのCSR」(狭義と広義のコンプライアンス)から成ります。もちろん、その両方が重要です。