サステナビリティ経営の質を見極める 2

・財務数値との結合性
あらゆる活動の持続性を維持するには、財務的な裏付けが必要です。お金が価値を計測するための最も効率的で有効なツールでなのは事実であり、サステナブルな社会・企業を構築していくためにも、自社の活動がどのように財務状況に影響しているのかを把握することは重要です。

活動だけを漠然と続けてその影響を検証しないのでは、より効果的な活動機会を逸することにもなるでしょう。もっとも、これまでにも述べてきたように、全てを効果的に財務数値に換算することは不可能ですし、財務数値のみに頼るのは本末転倒を招きます。

ただ、効率的に進めるためにはやはり常に財務数値も検証しながら判断材料の一つにすることは必要であり、そういう感性がある企業の報告は信頼に値するのではないでしょうか。

まずは、重要な課題に関する目標や活動が、何かしら指標化されているか、次にその指標は金額換算できるかどうか、最終的にはそれらすべての指標がその企業の経営理念や価値基準に基づいた企業通貨的な価値評価軸に置き替えられるか、逆に財務数値に置き換えられるか、という流れになるのではないかと思います(後者2つはまだ私の頭の妄想段階ですが)。

ただ、この時の財務数値はいわゆる業績や配当原資としての財務数値ではなく、社会にとっての「企業の真の価値を換算する代理指標としての財務数値」という捉え方が良いでしょう。

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中畑 陽一(オルタナ総研フェロー)

静岡県立大学国際関係学部在学時、イギリス留学で地域性・日常性の重要性に気づき、卒業後地元の飛騨高山でタウン誌編集や地域活性化活動等に従事。その後、デジタルハリウッド大学院に通う傍らNPO法人BeGood Cafeやgreenz.jpなどの活動に関わり、資本主義経済の課題を認識。上場企業向け情報開示支援専門の宝印刷株式会社でIR及びCSRディレクターを務め関東・東海地方中心に約70の企業の情報開示支援を行う。その後、中京地区での企業の価値創造の記録としての社史編集業務を経て、現在は太平洋工業株式会社経営企画部にてサステナビリティ経営を推進。中部SDGs推進センター・シニアプロデューサー。

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