SDGs が「経営マター」になったとは、どういう意味でしょうか。なぜ今「SDGs経営」なのでしょうか。「SDGs経営」の時代において、経営者としてどう対処すべきか、留意点をまとめておきたいと思います。(CSR/SDGsコンサルタント/ 社会情報大学院大学客員教授=笹谷秀光)

『Q&A SDGs経営』
■「経営マター」になったSDGs
SDGs の17目標のカバー範囲は極めて広いのです。企業統治や環境課題への対応のみならず、働き方改革、採用、ブランディング、地域社会など幅広くカバーしています。SDGs に関心の高いミレニアル世代の消費者への対応やグローバルなリスク管理にも必須項目です。
まさに、SDGs は経営要素のすべてに絡むので、社内全部署に関連し、経営トップも重大な関心を寄せる経営マターになったのです。
一方、投資家を中心に、ESG、つまり環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)への要請が世界的に高まっています。ESG投資家は、投資におけるE、S、Gの各要素の判断にあたり、企業のSDGs への貢献度を1つの指標として使い、ESGとSDGsとは「表裏の関係」になりました。
これは、SDGs への対応が株価水準に直結するようになったことを意味するのです。これがCSR(企業の社会的責任)などと違ってSDGs が「経営マター」になった最大の理由だと思います。
■SDGs経営は社内外に変革をもたらす
東京大学法学部卒。1977年農林省入省。2005年環境省大臣官房審議官、2006年農林水産省大臣官房審議官、2007年関東森林管理局長を経て、2008年退官。同年~2019年4月伊藤園で、取締役、常務執行役員等を歴任。2020年4月より現職。著書『CSR新時代の競争戦略』日本評論社・2013年)、『協創力が稼ぐ時代』(ウィズワークス社・2015年)。『 経営に生かすSDGs講座』(環境新聞社・2018年)、『Q&A SDGs経営』(日本経済新聞出版社・2019年)。 笹谷秀光公式サイトー発信型三方よし
執筆記事一覧