新型コロナの影響で世界の動物にも変化

■鳥は大きな声でさえずる

ドイツのベルリンでもサルが退屈していて、世話にやってくる飼育員たちを見つめるようになっているという。少しでも退屈しのぎになるようにと、自動餌やり器を設置した。

ドイツの日刊紙Die Weltによると、ほかにも、同園では、普段よりも大きい声で鳴く鳥が出てきたそうだ。ライプツィヒ動物園でも鳥たちが大きい声でさえずるようになっている。

フランクフルト動物園では、キリンやアフリカ産のミーアキャットが、飼育員や清掃員が来ると興味津々に首を伸ばすそうだ。

このように動物に変化はあるものの、どこの動物園でも「動物たちは状況変化に適応しやすいため、心配はいらない」という姿勢だ。

当然、どの動物園でも動物たちの世話は続けている。スイスでもドイツでも感染予防のため、特別にグループを組んでシフト勤務制にし、職員同士の接触を極力減らしている。また、ベルリン動物園では、数人の飼育員や獣医が園内で暮らし、動物たちを即座に救護できる体制も整えた。

■リゾート地に野生のジャガーやワニが出現

メキシコでは、新型コロナウイルス対策で観光客が大幅に減ったリゾート地で、招かざる客たちが出没している。ホテルの駐車場ではジャガー、そして運河ではワニが目撃された。ウミガメが5月からの産卵期よりも早く来て、砂浜ではなくホテル近くで産卵した。

キンターナ・ロー州の生態・環境局のアルフレド・アレジャーノ氏は、英タブロイド紙The Sunで「ウミガメがこの時期に来るのは非常にまれだ。ホテルが閉鎖して人が少なくなり、ビーチには人の気配がなく、道には車も走っていない状態で、野生動物たちが、この地の開発前の様子のようだと感じているのではないか」とコメントしている。

イギリス・ウェールズの町なかに現れた野生ヤギの群れも話題になっている。人間界に野生動物が入ってくる映画のシーンのようなこれらの光景は、感染が落ち着くまで、これからも各地で見られるだろう。

■アルパカは介護施設で癒しを提供

ところで、ジャガーやワニの出没は歓迎されないが、スコットランドでは、アルパカが良い意味で人々を驚かせた。エジンバラ郊外にあるザ・アーバン・ネイチャー・リトリートは、子どもから高齢者までを対象に、動物と触れ合う教育的セラピーを提供している。

センターのスタッフは、地域の介護施設から、新型コロナウイルス対策のために、入居している高齢者たちが普段行っているエンターテイメントがすべて中止になり、外出もできないでいると聞いた。入居者たちの家族も感染予防のため、施設を訪れることができない。

そこで、ザ・アーバン・ネイチャー・リトリートのスタッフは、センターのアルパカ数匹を連れて、2つの施設を訪ね、施設の周囲を回った。窓越し、ガラスのドア越しとはいえ、入居者たちの喜びようはすごかった。そして、入居者たちの家族たちからのお礼も、センターへ多数届いたという。

editor

オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

執筆記事一覧
キーワード: #CSR#SDGs

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..