こうした問題は関係者の間では共有されています。公益法人協会の会員アンケート調査によると、公益法人を選択して後悔している理由(複数回答可)として「収支相償で事業活動が制限される(43.1%)」、「遊休財産の規制がある」(16.6%)という声が多くなっています。
その影響か、新設される公益法人は2016年から毎年対前年比でマイナスになっており、2018年12月時点で新設法人はわずか697法人。新制度改正前の民法による公益法人から新たに公益認定を受けた8,854法人を加えても9,551法人にとどまっています。
その停滞の元凶が制度の欠陥にあるのは明らかです。例えば米国に収支相償の原則など存在しないように、世界の潮流にも反しています。
このため2008年の公益法人制度改革は「成功であったとは評価できない」と受け取られています。公益法人協会では新公益法人制度施行10周年にあたる2018年に、収支相償の原則、遊休財産の1年分積み立てを含む財務三基準を改正するよう提言を行ったばかりです。2019年9月には、公益法人ガバナンス・コードを決定、各団体の適正な統治を目指す姿勢も明らかにしています。
公益法人協会の鈴木勝治副理事長は「芸術文化関係だけでなく、美術館や全国の学校給食会にも大きな損害がでています。コロナ禍をひとつの機会ととらえ、制度の改善を働きかけたい」として、①収支相償原則の撤廃②遊休財産額の保有制限を3年に③2期連続で300万円以下なら解散という強制措置を時限立法で4-5年猶予――などを近く、政府に強く要望する考えを示しました。
当然のことと思います。