今回のパンデミックについては、これからの推移を見極める必要がある。これまでの情報から考えていることを述べたい。新型コロナ後をにらんで、改めて、SDGsを「自分事化」して使いこなす必要がある。(千葉商科大学基盤教育機構・教授/CSR/SDGsコンサルタント=笹谷秀光)
■SDGs目標3のターゲット「3.3」
2020年を迎えた時点では、先進的企業では自社の事業についてSDGsの17目標だけでなく、その下の169のターゲットに当てはめる段階に突入していた。企業は、SDGsのターゲットレベルまで深める段階に入った。
今回のパンデミックは、SDGsで言えば、経済・社会・環境のすべてのターゲットに絡み極めて複雑な展開になっている。
目標3「健康」のうちターゲット3.3に「感染症への対処」が明記されている。
このターゲットの対応に、そのほかの目標やターゲットがどのように絡むかという、「リンケージ」を考えていかねばならない。
すぐ思いつくのは、同じ目標3のターゲットの「3.8」にある、基礎的保健サービスの整備やワクチン開発だ。
このほか、目標9の技術革新(医療機器や関連機材)、目標8の働き方改革(テレワークなど)、目標11の持続可能なまちづくり、目標4の教育・訓練(新たな生活に向けて)、目標16の平和と公正性、そして何よりも目標17のグローバル・パートナーシップが重要である。
世界がこのような予期せぬ危機に囲まれている状況の中で、SDGsの価値はいっそう高まってくると思われる。
■パンデミックとSDGs