定休日を有効活用

ちょっぴり不慣れなのはご愛嬌。実地研修は現場で経験を積むかけがえのない機会となる

「今だけ」「ここだけ」の空間を創造するポップアップは、実験的マーケティング手法として、今、世界中で注目されている。リソースの限られたソーシャル・ビジネスにとっては、低コスト運営できることも利点の1つだ。

季節ごとに場所を変えて現れるスカーフのポップアップ・レストランは、賛同する店や個人が出せるものを提供することで成り立っている。

オープンするのが月曜夜のみなのは、月曜定休のレストランが多いからだ。休業日の店舗をそっくり借り受けて、経験豊かなシェフが腕をふるい、サービスの最前線に立つ研修生をボランティアのメンターたちがサポートする。

前菜とメイン料理からなる2コースの選択セットメニューは35豪ドル(約3300円)。一晩の平均売上は約3千豪ドル(約28万円)で、最大75人の予約枠が一杯になることもある。営業収益から研修生の給与が賄われることを知っている一般客も巻き込んで、協働で人づくりに取り組むスカーフの店内は、名前通りほんわりした温もりに包まれている。

認知度上昇と共に共感の輪も広がり、現在のメーリングリストの登録者は1700人超で、ツイッターのフォロワーは約1200人。中には、どこに「ポップアップ」しても、やってくる常連客もいる。レストランを貸す側にとってもメリットが生まれ、食品メーカーなどの協賛スポンサーも増えた。メルボルンのレストラン業界の活性化に、スカーフが一役買っていることは間違いなさそうだ。

*雑誌オルタナ35号(2013年12月16日発売)「世界のソーシャルビジネス」から転載

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