汚染木材処理も視野に

同社はルーヴァン・カトリック大学(仏語校)理工学研究室からスピンオフした小さな企業だが、日本には大きな需要があると期待している。
その理由は、バイオマスの大規模製造流通ルートが整っていないので、中型設備が最適なこと。営業担当のジェローム氏によれば、「2千キロワット規模だと、発電は900キロワット時。日本で有利な売電単価が適応されるはず」と言う。
そして何より、福島の放射能汚染された廃材や伐採木材などの処理にも適していると見込まれるからだ。
NOTARガス化炉は、生成過程でガスの温度を下げるため、セシウムは凝固してほとんどが炉底の灰に集積する。
飛散した灰に含まれるセシウムも減温過程のフィルターで捕捉できる。ルーヴァン大学内のパイロット実験では、セシウムとストロンチウムの99%以上の捕捉に成功した。捉えたセシウムをどう処分するかは別の難しい課題だが、それでも、阿武隈山脈の美しい山々から放射能汚染を取り除くための一助になることができたらと、若い技術者たちは夢を膨らませている。
*雑誌オルタナ57号(2019年6月24日発売)「世界のソーシャルビジネス」から転載