京都の里山、クリエイティブ集団が活性化

■世界のソーシャルビジネス アジア・オセアニア編 日本

京都駅から、国道を車で1時間ほど北上した京都市京北(けいほく)地区。農村と杉の森林で囲まれた過疎化の進んだ地域に、外国人観光客が、古き良き日本の姿を求めて足繁く通い始めているという。その仕掛けを作ったのが、都市部からの移住者が設立したクリエイティブ集団「里山デザイン」だ。移住者だからこそ見える視点で、地域社会の課題に取り組んでいる。 (寺町 幸枝)

京都駅からバスで1時間半の京北地域。農家民宿情報も提供している

「京北は、京都市内の一部。大阪市とほぼ同じ広さにもかかわらず、人口は4千人足らず。森林に住む8千頭の鹿の半分しか人が住んでいない」

里山デザインのプロデューサー・太田みどりさんはこう説明する。地域の93%が森林で、水運を利用し、古代から京都御所や寺社仏閣の材木供給地として林業が盛んだ。一方で、過疎化、高齢化、耕作放棄地、獣害といった地域課題も山積みだ。

そんな中、4年ほど前から都市部からの移住者たちが集まり「里山デザイン」を設立した。メンバーは、太田さんのほか、海外での経験豊富なフォトグラファーの福元宏徳さん、デザイナーとしてグッドデザイン賞の受賞経験もあるディレクターの國松繁樹さん、外国語を得意とし里山のガイドもこなすコミュニケーションコーディネーターの中山慶さんらだ。

彼らが採用した社会課題へのアプローチ方法が「ソーシャル・インパクト・デザイン」である。ソーシャルインパクトとは、企業や組織の活動が、その地域を良くすることで、社会に対するポジティブな結果を生み出す活動全般を指す。

里山デザインは、「統一的デザイン」というアプローチを通じて、京北という地域の価値を一つにまとめ、地域の良さを国内外へ定期的に配信する役割を担っている。

対外的なイメージを統一

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