情報開示ルールの乱立を防ぐ基準が乱立という皮肉

元々、非財務情報の開示基準は「任意」だった。自社の判断でCSR/ESG情報の開示対応をすればよく、開示ガイドラインも取捨選択し対応すればよかった。2020年の今となっては、それはもう過去の話だと諦めるしかない。

任意ではなく対応必須になった背景としては、基準設定機関だけでなく、ESG評価機関やESG投資家を含むエコシステムの広がりがある。

この数年だけでも、マルチステークホルダー向けの情報開示基準の議論は相当に進んできたが、出自も設計思想も異なる規格が100%共通の開示項目になることはないだろう。開示ルールが将来的にどのような形で統一化されるか誰にもわからないが、企業が果たすべき本質的な社会的責任やその存在意義は何十年前と変わらない。

過渡期は、常に入れ替わるトレンドに振り回され、自社の立ち位置を見失いがちである。こんな時こそ、確固たるパーパスをモノサシとしてまっすぐに進みたい。変化の大きい時代こそ、変化しないものを見つける余裕を持つべきである。

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安藤 光展・CSRコンサルタント

CSRコンサルタント。専門は、CSR、SDGs、サステナビリティ情報開示。著書は『創発型責任経営』(日本経済新聞出版、共著)ほか多数。2009年よりブログ『サステナビリティのその先へ』運営。ネット系広告会社などを経て2008年に独立し、現在は一般社団法人CSRコミュニケーション協会・代表理事。1981年長野県生まれ。執筆記事一覧

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キーワード: #CSR

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