ボトル9割回収へ、欧州の脱プラ指令とは

EU指令では、2030年までにはEU市場に出回るプラスチックは全てリユースされるか、簡単にリサイクルされなければならなくなる。

フランスでは2020年1月1日から、プラスチックのコップ、皿、芯がプラスチックの綿棒が発売禁止に、学校給食ではPETボトル入りの非炭酸水が禁止になった。PETボトルはリサイクルに回しているが、デポジット制はない。それに比べ、ドイツや北欧ではデポジット制が定着している。

欧州のプラスチックリサイクル業界、PET業界、ボトル水業界が2020年2月6日に発表した「欧州PET市場の現状 製造、回収、リサイクルデータ」に、EU28カ国にスイスとノルウェーを加えた「EU+2」の統計がある。EU離脱前の調査なので、英国も入っている。

2018年は、340万㌧のPETボトルがEU+2に出回った。市場に出たPETの96% が包材で、そのうち71%がボトルだった。

2017年にリサイクル率のトップはドイツの95%、2位はリトアニアとフィンランドの92%、3位はノルウェーで88%、4位はデンマーク、クロアチア、エストニアで86%である。これらの国にはデポジット制がある。

急激に伸びたのはリトアニアで、制度導入2年でリサイクル率が32 %から92%に上がった。デポジット制があるのは10カ国、デポジット制導入を検討中なのはポーランドなど6カ国である。

2018年3月、ノルウェーがリサイクル率97%で欧州一であると多くの欧州メディアが伝えた。しかし、ドイツの国営放送ドイチュ・ヴェレが、「これは回収率であって、リサイクル率ではない」という欧州プラスチックリサイクル協会事務局長の談話を流し、信憑性にクギを刺した。回収されても焼却炉に送られるボトルがあるので、リサイクル率は回収率より低くなる。リサイクル率トップはやはりドイツだ。

パリのドイツ食品店主フィリップ・メームさん。パリの店でもデポジット代を返金する
hanyu

羽生 のり子(在パリ編集委員)

1991年から在仏。早稲田大学第一文学部仏文卒。立教大学文学研究科博士課程前期終了。パリ第13大学植物療法大学免状。翻訳業を経て2000年頃から記者業を開始。専門分野は環境問題、エコロジー、食、農業、美術、文化。日本農業新聞元パリ特約通信員、聴こえの雑誌「オーディオインフォ」日本版元編集長。ドイツ発祥のルナヨガ®インストラクター兼教師養成コース担当。共著に「新型コロナ 19氏の意見」(農文協)。執筆記事一覧

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キーワード: #脱プラスチック

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