環境4団体が、「バイオマス発電はカーボン・ニュートラル(炭素中立)ではない」とする見解を発表した。近年急増するバイオマス発電所に対し、警鐘を鳴らした形だ。バイオマス利用は地球温暖化対策に資するという前提で、これまで日本が推進してきたバイオマス燃料優遇の根拠を頭から否定した。(編集委員・栗岡理子)
CO2排出から再吸収まで長いタイムラグ
見解を発表したのは、国際環境NGOのFoE Japan(東京・板橋)、地球・人間環境フォーラム(東京・台東)、熱帯林行動ネットワークJATAN(東京・渋谷)、バイオマス産業社会ネットワーク(千葉県柏市)の4団体。発表した「バイオマス発電はカーボン・ニュートラルではない」との見解の根拠について、11月16日に説明会を開いた。
それによると、バイオマス発電は、燃料となる植物の燃焼段階でのCO2 排出量と、植物の成長過程におけるCO2 吸収量が相殺されるため「カーボン・ニュートラル」であると説明されることが多い。
しかし、これは「燃焼」という一つの段階のみをとりあげたものに過ぎないという。
たとえば、燃料を生産するために森林の樹木を伐採すると、森林の土壌に蓄えられていた大量のCO2も放出してしまう。するとそのCO2は、森林がまた元通りに再生するまでの間、発電所で燃やされる樹木から発生するCO2とともに大気中に残り続けることになる。
つまり、森林の樹木や土壌に蓄えられていた炭素が大気中に放出されると、森林が元通りに再生するまでの数十年もの間、大気中のCO2 が増加しているというのだ。