この長いタイムラグのほかにも、カーボンニュートラルの前提条件には無理がある。
森林がまた元通りに再生することが前提になっているが、伐採した森林が、また元の森林と同じように再生するとは限らないのだ。農地や宅地に転換されることもある。
FoE Japanの満田夏花・事務局長は、「もし転換されれば、蓄積されていた炭素とCO2の形で発生する炭素が相殺される(プラスマイナスゼロになる)ことはありません。仮に他の用途に転換されなかったとしても、伐採された場合、植生が劣化してしまうこともあります」と説明する。
植生が劣化すると、炭素の貯蔵量だけでなく、生物多様性にも影響する。
さらに、「樹木を伐採し、木質ペレットなどに加工したり、それを輸送したりするにもエネルギーが必要で、当然CO2も発生する。しかし、発電というプロジェクトの中で、そのCO2排出量はカウントされない」(満田事務局長)と指摘する。
要するに、バイオマス発電の促進が、森林や土壌を破壊し、むしろCO2が発生する原因となってしまうということだ。
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