「気候変動を止めることが手遅れになってしまうまで残り12年」と、2018年に国連が発表したことは記憶に新しい。気候変動を止めるには、政府や企業の大きなシステム変化に加え、個人の意識変化が欠かせない中、19歳の環境活動家が立ち上がった。慶應義塾大学に通う大学1年生の露木志奈さんは2020年9月21日から大学を休学し、小学生から高校生に気候変動の危機を伝えるための講演活動をスタートさせた。すでに30校3000以上の小中高生に講演した露木さんの活動に迫る。(株式会社スマイルバトン代表取締役=三原 菜央)
知らなければ、 検索すらできない
露木さんは、小学校、中学校を地元横浜の公立校で過ごした後、高校は単身インドネシア・バリ島にある世界で一番環境に優しいと称される学校「グリーンスクール」で過ごした。
気候変動に興味を持ったのは、グリーンスクールで受けた授業「What is climate change? (そもそも気候変動って何?)」がきっかけだった。
「気候変動に関するビデオや資料、本を通して学んだ後、私たちを先進国のゴミが含まれるゴミの山に連れて行ってくれました。知ってはいたけれど、実際に見るゴミの山に、これではいけない、消費者が変わっていかなければと強く思ったのです」
露木さんはその衝撃をきっかけに、気候変動に関する団体に参加し、温室効果ガス排出削減を締結する国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)にも参加するなど、気候変動に関する情報を受信する側から、発信する側へと変わっていった。
「私たちがこのまま今の暮らしを続けると、地球はもって7年。地球の危機まで7年と知り、大学に行っている場合じゃないと思いました。地球で起きていることについて、多くの人に伝える必要性を強く感じたのです。」そして、露木さんは2020年9月に大学を休学し、小学生から高校生に気候変動を伝える講演活動を始めた。
「日本だと気候変動が世間の話題になりにくく、気候変動を食い止めるための活動がなかなか活発にならない。気候変動について知らなければ、インターネットで検索すらできない。だからまずは知ってもらいたい」
そう語る露木さんは、あえて年代の近い中高生に伝えることを選択した。それは、気候変動について学校で習わないから知らないという現実を、変えていくためだ。