ダイバーシティでもムスリムが取り残される現状とは

森喜朗・前東京五輪組織委員会会長の発言が発端となり、ジェンダー問題が再認識された。ただ、ダイバーシティ(多様性)は性別にとどまらず、人種、国籍、宗教、障がいの有無など幅広い。SDGsの理念である「誰一人取り残さない」という考え方を体現するには、ダイバーシティ&インクルージョン(包摂性)への取り組みが不可欠だ。例えば、日本には「ムスリム(イスラーム教徒)フレンドリー」な環境を整える企業や組織がある一方で、生きづらさを感じるムスリムも少なくない。(松田ゆきの・オルタナ編集部)

国内初のムスリム団体として1952年に設立、1968年に宗教法人となった日本ムスリム協会(東京・品川)の遠藤利夫さん、前野直樹さん、早田恭子さんに話を聞いた。

ムスリムの社員の声を聞き、課題に取り組む

日本で働くムスリムにとって、職場でのイスラームに対する「合理的配慮」の有無は重要だ。勤務中に喫煙室で一服することが認められて、なぜ礼拝の5分、10分は認められないのか。ムスリムに対しても少しの想像力を働かせて、相手を思いやる心配りができれば、「誰一人取り残さない」環境を築くことができる。

ヤンマーホールディングスは2016年に本社食堂でハラールメニューの提供を始め、礼拝のための祈祷室も設けた。国内外に販売拠点を持つ同社には社員や来客など、ムスリムの関係者がいたため、ムスリムに対する配慮の在り方を検討した。

同社食堂のメニューと同様に、ムスリムフレンドリーのメニューも日替わりで提供する
キーワード: #ダイバーシティ

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..