起業につきまとう「不安」、乗り越えるには

【連載】ソーシャルビジネスとは何か(3)

将来、ソーシャルビジネスを立ち上げたいと考えている若者に向けた連載シリーズ第3弾、今回は、起業につきまとう「不安」の正体と乗り越え方について書きたいと思います。

これから社会起業家への一歩を踏み出そうとしている人のエピソードです。彼女はアフリカの貧困問題の解決を目指し、日々着々と準備を進めています。年齢は20代後半、まだ社会人になって数年です。

初めて彼女と出会ったのは新卒採用面接。その時も、アフリカの貧困問題を解決したい、という話をしてくれました。強い想いを持っているものの、その時は、行動力と問題に対する具体性が曖昧で、「本当に起業をするならば、不安よりも解決したい、という気持ちが勝る必要があるけれど、まだそこには到達していない。たくさんの人に話を聴き、自分の考えをぶつける中で、自身が直面する「壁」を超えられるかもしれません。」と伝えて面接は終了しました。

時は数年経ち、「覚えてらっしゃいますか?あの時の面接ではお世話になりました」と彼女から会社に一本の電話がかかってきました。再会を喜ぶとともに、いろいろ話をしていくと、もうじき今の会社を辞めて起業しようと考えている、と。彼女の大きく成長した姿に関心し、この数年間で何があったのかを聴いてみたわけです。

自分がやりたいと思っていることを、友人や先輩、仕事で接する経営者にぶつけ続けたそうです。「そんなの無理だよ」と言われることが多い中、「すばらしいね、やってみたらいいじゃない」と言ってくれる人も現れた。そして、ビジネスプランを考えるときのアドバイスや、自分の知り合いを紹介してくれる人も出てきたそうです。

そうやって行動し続け、何十人もの人と対話し考えを深めていった結果、自分のアイデアがより具体的になり、応援してくれる人もたくさん出てきた。いつのまにか、「本当にやりたいことなのかな、失敗したらどうしよう」という不安は薄れ、「解決するぞ!」という気持ちが彼女自身を突き動かし、起業を決意できた、という話をしてくれました。

実はこのエピソードが、不安を乗り越えるオススメの方法を教えてくれます。

「不安」の乗り越え方

masayoshi suzuki

鈴木 雅剛(ボーダレス・ジャパン副社長)

株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役副社長 1979年山口県出身。大学時代、やる気なくつまらなそうに働くバイト先の人々や、働きたくても働けない人々の存在を目の当たりにし、「世界で一番働きたい会社をつくる」ことを志す。現在は、社会問題の解決と同時に、仲間やその家族の幸せを実現する「いい会社」を増やし、世界へと拡げていくために、経営手法や共同体の仕組みづくりに取り組み、13カ国35のソーシャルビジネスを展開している。

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