例えば、パタゴニアの「リジェネラティブオーガニックコットン」。再生を意味するリジェネラティブという名の通り、環境を再生しながら作物を育てる農業のあり方である。
土壌の水分と有機物質を保つために耕さない(不耕起)、炭素を土壌に留めるため被覆植物で土を覆う、さらに輪作を行うなど、徹底的に炭素の排出を抑え、土壌の健全性を向上する試みである。
「環境に優しい服」という謳い文句を見かけることがあるが、服は作れば何かしらの負荷を生み出してしまうもので、正確には「環境への負荷を減らした服」ということでしかない。
しかし、このリジェネラティブ農法が進歩することで、生産時に環境に良いインパクトを生み出すことができる可能性があるのだ。
2020年にはインドでのオーガニックコットンの大規模な不正認証が問題となった。また、ウイグル自治区でのコットン生産に係る人権問題も解決されていない。
今後これまで以上にトレーサビリティー(追跡可能性)が必要とされ、企業にも説明責任が求められるだろう。そこに向けた一つの取り組みとして、豊島株式会社の「TRUECOTTON」がある。
農場と紡績工場が特定できるオーガニックコットンであるが、特定農場と契約するということは、天候などの影響を受けて変化する生産状況に関する責任を一緒に引き受けることになる。
農家だけが不安定な立場に置かれることを防ぐためにも重要な取り組みといえる。オーガニックコットンの普及もまだまだ途上ではあるが、さらにその先の挑戦にも着目したい。