3月17日、同性同士で結婚できない現行法が違憲であるという、画期的な札幌地裁判決があった。ゴールデンウィークに向けて、LGBTに関する企業から多くの情報発信が見込まれる。それは単なる商品の宣伝なのか、本気でLGBTの社会課題の解決に取り組んでいるのか、そろそろ「見る目」が必要だ。

3月17日、札幌地裁で歴史的な判決があった。同性同士の婚姻を認めていない現行の民法、戸籍法は、憲法14条の「法の下の平等」に照らして違憲、という判断だ。原告は控訴し、立法府に対して一刻も早い法制化を促す構えである。同様の訴訟は、他の地裁でも行われており、今後、次々と判決が出てくるはずだ。期待したい。札幌地裁の判決では、企業の取り組みの進捗が、社会の変化の証拠として採用された。

例年、ゴールデンウィークは、LGBTに関する日本最大のお祭り、「東京レインボー・プライド(TRP)」が開催される時期であり、企業から多くの情報発信がある。今年は新型コロナウイルス感染拡大下でオンラインでの開催が決定している。私も関連イベントに出演予定なので、是非ご覧いただきたい。

今年のTRPのテーマは「#声をあげる世界を変える」である。多くのスポンサーが一覧で並んでおり、華やかな虹色のロゴ(虹はLGBTの人権を支援するシンボル)は期待感を高める。LGBTにとって生きにくいこの「世界を変える」ために、「声をあげる」企業が並んでいるはずだ。

では、まず、これらの企業が従業員のLGBTに対して、しっかり対応できているのかを確認しよう。日米で職場に関する指標があるので、それが一つの目安になる。

PRIDE指標(日本)
https://workwithpride.jp/topics/prideindex2020release/

Corporate Equality Index(CEI)(米国・英語)
https://www.hrc.org/resources/corporate-equality-index

残念ながら、TRPに参加していても、PRIDE指標やCEIに参加していない、あるいは、低評価の企業もある。

ファストリはLGBTに本気?

LGBTが生きにくい背景として、日本における法整備が進んでいないことは大きな要因だ。次にチェックすべきは、これらの企業がLGBTに関する法整備に声をあげているのか、である。例えば、私たちは「Business for Marriage Equality」という婚姻の平等に賛同する企業を集めるキャンペーンをしているが、こちらにロゴを掲載できている企業はまだまだ少ない。

もう一つチェックして欲しいのは、どれだけLGBTコミュニティの活動を支援しているか、である。政府や自治体の取り組みが不十分な中、NPOなどの支援団体の活動が一人ひとりの当事者を支えている。私は企業が虹色の商品を販売するのであれば、是非その収益でLGBTコミュニティの活動を支えて欲しいと思う。寄付付きの商品かどうか、そしてその寄付先は信頼できる団体か、をチェックして欲しい。

ちなみに、私たちは今回、ウォルト・ディズニー・ジャパンの「The Walt Disney Company’s Pride Collection」の寄付先に選んでいただいた。商品タグにはしっかりLGBTQ+コミュティへの支援になることが明記されている。

一方、ユニクロを運営するファーストリテイリングが4月12日に発表した動画は、商品とともに女性同士のカップルの日常を描いて、話題になった。

この動画自体は、私も素晴らしいと思う。だが、ファーストリテイリングは、PRIDE指標はシルバー(最高位はゴールド)で、Corporate Equality Index、Business for Marriage Equalityには参加していない。

現時点でLGBTコミュニティへの支援の表明もない。ウイグル問題に関して、4月8日、「政治的に中立な立場でやっていきたいので、政治的な質問にはノーコメント」と柳井会長が回答したと報道されている。しかし、LGBTであることが犯罪になる国もまだ多い中、同性カップルをポジティブに描くことは、実際、非常に「政治的」なことだ。ファーストリテイリング社には、LGBTの人権を支援する企業として、もっと「声をあげる」役割を期待したい。