日本政府は、4月22~23日の「気候サミット」(米政府主催)で、2030 年までの温室効果ガス(GHG)排出の中期削減目標を発表する見込みだ。「2030年までにGHGを45%削減(2013年比)」で調整中とされるが、そもそもなぜ「2013年比」なのだろうか。この45%削減目標をEUなどが採用する「1990年比」に置き換えると、実は「39%減」に過ぎない。(オルタナ副編集長・吉田広子、オルタナS編集長・池田真隆)
気候変動対策の国際的枠組み「パリ協定」では、産業革命前を基準に世界の平均気温の上昇をできるだけ1.5度以内に抑えるため、批准した各国に対して、21世紀後半までにCO2排出を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にすることを求めている。
「2050年までにカーボン実質ゼロ」を宣言した国はすでに120カ国以上に上り、日本も100カ国以上に後れを取ったものの、2020年10月に菅義偉首相が「2050年までにカーボン実質ゼロ」を宣言した。
「2013年比」という数字のカラクリ
世界が「2050年までにカーボン実質ゼロ」を目指すことは間違いない。だが、長期目標だけではなく、2030年までの国・地域別中期目標が重要だ。
日本をはじめパリ協定に批准した国は、「国連気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)」にNDC(国別削減目標)と進捗を報告する義務がある。
日本は2020年3月、「2030年までにGHG排出量26%削減(2013年比)」との内容のNDCを提出した。だが、これをEUなどが採用している「1990年比」で計算し直すと、削減率は「18%減」と大幅に減る。