P&Gが「LGBTQ理解プログラム」を無償で提供

P&Gジャパンは5月26日、LGBTQ+の「アライ(理解者・支援者)」の輪を広げる「アライ育成研修」を開発し、社外に無償提供することを発表した。研修の開発に伴い、5000人を対象に実施した調査結果も公表。調査対象の9.7%がLGBTQ+を自覚し、約半数が「自分らしく生きられない」と感じ、最も生きづらいコミュニティは「職場」であることが分かった。(オルタナ副編集長=吉田広子)

アライとは、仲間や同盟を意味する英単語「Ally」が語源で、当事者に限らず、理解者・支援者を意味する。

P&Gジャパンが実施した全国調査では、53.8%がアライの考えに共感する一方で、共感者の69.1%が「アライとして行動していない」という実情が明らかになった。その理由として、「身近にいない」が43.8%、「何ができるか分からない」が40.3%に上った。

LGBTQ+層の44.9%が「自分らしく生きられない」と感じ、最も生きづらいコミュニティは「職場」という結果になった。

P&Gジャパンの住友聡子・執行役員広報渉外本部シニアディレクターは、「アライへの共感者は多いが、知識不足がアクションにつながらない可能性がある。職場は当事者にとって安心できる場所とはいえず、職場におけるアライを可視化することが重要だ。私たちは一人ひとり違い、誰にでもマイノリティ要素はある。他者への共感や対応力が高まることで、職場、社会全体が良くなっていくのではないか」と説明する。

P&Gジャパンが提供するアライ育成研修は、講義とワークショップの2つのパートから構成されている。参加者同士でのディスカッションを通して、アライとして何ができるかを考え、アライとしてのスキルを身に付けることを狙う。

「身近に当事者がいるという前提に立ち、自分らしいアライを考えてもらえたら。例えば、職場や飲み会の会話で、話題を変える『スイッチャー』や、話を止める『ストッパー』など、自分らしい方法があるはず」(住友執行役員)

5月末から、ウエルシア薬局や神戸市役所に「アライ育成研修」を提供する予定で、順次社外への提供を行う。

スタニスラブ・ベセラ・P&Gジャパン社長は、「まだまだ社内外にかかわらず、やるべきことがある。多様性、平等な機会、インクルージョンによってだれもが最高の自分でいられる職場、社会のために力を尽くしていきたい」と語った。

yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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