吉野家ホールディングスの常務(当時)がセミナーで不適切な発言をした問題で、同社は4月19日、同常務を解任した。昨年の東京五輪組織委前会長・森喜朗氏など「女性蔑視」につながる不適切発言は後を絶たない。村上由美子・前OECD東京センター所長は「何より男性優位の『おじさん型組織』から脱することが必要だ」と指摘する。(オルタナS編集長=池田 真隆)

吉野家の自社サイトには「サステナビリティの考え方」として取り組むべき5つの重要課題の一つに「ダイバーシティ」を挙げている *クリックすると拡大します

吉野家の元常務は16日、早稲田大学の社会人向け講座に登壇すると「生娘をシャブ漬け」という表現を使い同社のマーケティング戦略を説明した。講座の受講生がSNSに投稿したことで性差別だと広がり、同社は18日に謝罪文を公表した。講座を主催した早稲田大学も謝罪文を公式サイトに公表した。

再発防止として吉野家はコンプライアスの見直し、早大は元常務を講座担当から外すと発表したが、果たしてこの対応策で十分なのだろうか。

まずこうした女性蔑視発言が生まれた背景から真因を探り、抜本的に変革していくことが重要だ。そのヒントは脱「おじさん」だ。オルタナ編集部では2020年8月、元OECD東京センター所長の村上由美子氏にダイバーシティを推進するポイントについて取材した。

村上氏は重要なポイントを3つ挙げた。一つは、リーダーの周囲にいるアドバイザーが、ステークホルダーの男女比や年齢などを反映しているかどうかだ。例えば日本の人口の半分は女性だ。社長のアドバイザーが男性ばかりだと偏った意思決定になってしまうと指摘した。吉野家に関していえば、9人いる役員のうち女性は社外取締役で一人だけだ。

二つ目のポイントは、日本独特の終身雇用、年功序列の制度にメスを入れることだ。女性が結婚して子どもを持つと、どうしてもこの制度から徐々に排除されていく。成果に基づいて評価するジョブ型雇用へのシフトが、経済合理性につながると認識すべきだと強調した。

最後は、テクノロジー化への適応を挙げた。テクノロジーで、働き方が大きく変わった。旧来の知識や仕事のやり方に固執する「おじさん社員」は分岐点にいるとし、個人の意識改善も必要だが、会社側も、「おじさん社員」に新しい学びの機会を与えるべきだと語った。「おじさん社員」が新しいスキルを得れば、年齢問わず、様々なチャンスが会社から与えられ、競争優位性につながると話した。