仏検察当局は7月1日、ユニクロなど4社の捜査を開始したと発表した。NGO3団体が4月9日、中国・新疆自治区のウイグル人の強制労働に加担したとして、これら4社を提訴していた。オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)が2020年3月に発表した報告書では、82社がウイグル人の人権を侵害する現地企業と取引をしていた。その中からNGOが4社を提訴したのは、関与が明らかだったからだという。(在パリ編集委員=羽生のり子)

パリにあるユニクロ店舗(撮影・羽生のり子)

パリ司法裁判所に4月に提訴したのはNGO3団体だ。その一つ、「シェルパ」はグローバリゼーションの下での経済活動の犠牲になった人々を支援する活動を行っている。

「ラベルの倫理」連合は、国際連帯のNGO、消費者団体、労働組合などの集合体で、世界中の労働者の人権問題と、商品の質を消費者が知る権利を扱う。オックスファムも会員だ。もう一つの団体は「欧州ウイグル研究所」で、欧州のウイグル人会である。

このNGO3団体が「悪化した隷属状態に置く罪の隠匿」「人間を群れとして扱う罪の隠匿」「虐殺(ジェノサイド)の罪の隠匿」「人道に対する罪の隠匿」の4つの罪で訴えたところ、裁判所は「人道に対する罪の隠匿」での捜査が必要と判断した。

訴えられたのはユニクロ、ZARAなどを所有するスペインのアパレル大手「インディテックス」、サンドロ、クローディーピエルロなどのブランドを所有するフランスのアパレルグループ「SMCP」、米国の靴メーカー「スケッチャーズ」の4社。いずれもフランスに複数の店舗がある。

提訴のもとになったのはASPIの報告書だった。原告は「製造の一部を人権侵害している下請け企業に任せたり、新疆地区の綿を使い続けたりすることで、重大な罪の存続に加担するこれらの企業を捜査する」よう訴えた。

パリのZARA店舗(撮影・羽生のり子)

「ラベルの倫理」連合のナイラ・アジャルトゥニさんは、「その他多くの企業もウイグル人の人権蹂躙(じゅうりん)に加担した責任があるが、この4社の関与は明らかだった」と語った。

日刊紙「ルモンド」の報道によれば、ユニクロは新疆ウイグル自治区と、労働者が強制移動させられた可能性のある地方から布地を購入していることが非難された。インディテックスは新疆にある繊維企業との結びつきが、SMCPは新疆に工場を構えた中国企業が主要株主であることが問題視された。スケッチャーズの靴は、ウイグル人が強制移動させられた地域で製造されたという。

複数の欧州連合(EU)議員が提訴を支援した。中でもラファエル・グリュックスマン議員はウイグル人の人権保護で先頭に立ち、支援する他国のEU議員とともに3月、中国から入国禁止の報復措置を受けた。

前述のアジャルトゥニさんによれば、ドイツ、オランダでも非営利機関「欧州憲法人権センター(ECCHR)」がウイグル人弾圧に加担する国際企業に対し、提訴を準備しているという。