経産省は現在改訂中の「エネルギー基本計画(エネ基)」の素案を7月21日に開く基本政策分科会で提示することが分かった。経産省幹部がオルタナ編集部の取材で明かした。今後は、パブリックコメントの募集、各省協議を経て、10月頃に閣議決定に持ち込む方針だ。(オルタナS編集長=池田 真隆)

エネ基はエネルギー政策の基本方針だ。「安定供給の確保」「環境への適合」「市場原理の活用」の3本柱から成る。2003年に閣議決定し、それ以降、2007年、2010年、2014年、2018年に改訂版を出してきた。現在改訂中のもので第6次となる。

菅首相の2050年カーボンニュートラル宣言によって、日本のエネルギー政策は脱炭素へシフトした。2030年にCO2を46%削減(2013年度比)という目標を掲げており、第6次のエネ基では、2030年の電源構成比率に注目が集まっていた。

経産省幹部によると、素案で提示する2030年の電源構成比率は次の数値が濃厚だという。再生可能エネルギーは第5次の22~24%から10ポイント以上上げて36~38%、原子力は第5次と変えず20~22%とする。原発の比率を変えなかったのは、「昨今の状況を鑑みて、原発は信頼を回復しないといけない。いま原発推進というメッセージを出すべきではないと考えた」(経産省幹部)とのことだ。

エネ基は最終的に閣議決定されるものだ。今後の流れは、21日に提示した素案について、パブリックコメントを公募する。その後、各省協議を経て、閣議決定を目指すという。閣議決定の時期は「9月下旬から10月上旬」だという。

経産省幹部は、「11月にはイギリスでCOP26がある。それまでに排出削減目標であるNDCを国連に提出しないといけない。NDCを作るためにはエネ基がないといけない。逆算すると9月後半から10月前半になる」と話す。

経産省としては「原発や火力などとの組み合わせ」で30年46%削減という野心的な目標を目指す。梶山弘志・経産相は13日の記者会見で、2030年に事業用太陽光発電の発電コストが原子力よりも安くなるという同省の諮問機関が出した試算について、「原子力は太陽光発電とそん色ない。太陽光発電はバックアップ電源を用意するコストも掛かる」と話し、原子力の位置づけを変えないことを強調した。

■再エネ100%社会は遠のいたのか

日本で再エネ100%社会を実現するカギは第6次エネ基だった。気候変動やエネルギー政策について提言を行うWWFジャパンは昨年12月、「脱炭素社会に向けた2050年ゼロシナリオ」を公開した。

そのシナリオでは、人口減や産業転換などが今後加速することで、「2030年46%削減」「2050年排出ゼロ」「再エネ100%社会」を十分可能だと分析。そのための条件として、「国が高い再エネ導入目標を掲げること」とWWFジャパン気候・エネルギーグループの池原庸介グループ長はオルタナ編集部のインタビューに答えていた。

同シナリオでは2030年に再エネ50%の電源構成を提示しており、「実現すると排出量も45%削減できます」(池原グループ長)。一方で、「仮に、2030年排出量46%削減という目標と整合性のとれないような低い再エネ数値になってしまうと、どちらを目指していけばいいのだろうかと日本企業は迷ってしまいます。削減目標と整合したエネルギーミックスを国がしっかり出さないといけません」と述べていた。