NPOの不祥事が気になったときに確認したい「信頼のマーク」

■NPO選びで間違えないためには(3)■NPO法人(以下NPO)は全国に約5万団体あり(内閣府 2021年6月時点)、営利を目的とせず社会課題の解決に向けて活動している。5万団体の中には、NPOの不祥事がニュースとなってしまうことがある。しかし営利を追求していないはずのNPOで、なぜ不祥事が起こってしまうのか。不祥事を防ぎ、信頼のあるNPOを見つける方法として5つのポイントがある。

NPOは、会計の流れが不透明になりやすい傾向がある

NPOでなぜ不祥事が起こってしまうのか?

NPOは災害や社会状況の変化に伴い、柔軟に新しい事業にチャレンジすることができる。その一方で、設立されたNPOのうち約2万団体が解散しており(内閣府 2021年6月時点)、そもそも活動の継続が難しい法人もある。NPOの不祥事で寄付プロジェクトが中止になってしまうこともある。

寄付プロジェクトが中止に陥らないためには、NPOの労働環境づくり、周囲のサポート体制、そして財務の健全化による中長期的な目線での運営が重要になっている。

NPOは、会計の流れが不透明になりやすい傾向がある。一般的に寄付は対価を求めて行うものではないため、資金の出し手と、利益の受け手が違うという特徴があるためだ。寄付金がNPOのもとで正しく使われたかどうか、寄付者にとってプロジェクトの成果を確認しづらいのである。

信頼のあるNPOを見つける5つのポイント

NPOのための「信頼のマーク」、グッドガバナンス認証で確認している基準から5つのポイントをご紹介する。

グッドガバナンス認証で確認している5つのポイント

【ポイント1】寄付金の使途を報告している
寄付金をどの事業に充てるか、募集時に明示されているか。また過去のプロジェクトにおいて寄付者へ事業成果を報告しているか、そして寄付金額を明らかにしているかどうかがポイントになる。

【ポイント2】中長期的な計画に基づき運営を行っている
社会課題解決に向けて計画に基づき事業を行っていることを「中長期計画」から確認し、単年度の場当たり的な運営になっていないことを判断する。

【ポイント3】財務が健全である
収入の構成(会費・寄付金・自主事業比率)、収益の増減、内部留保率を会計書類から確認し、自立した継続的な運営が可能であることを判断する。

【ポイント4】労務管理は法律に準拠している
労務管理が法律に準拠していること、また人材育成計画を確認することで、長期的に運営する職場体制であると判断する。

【ポイント5】不正を防止する仕組みがある
利益相反取引を防止する仕組みがあり、役員構成に偏りがないこと。そして理事、監事が団体の状況を把握している実態を確認することで、不正が起こりがちなワンマン経営を防ぐ仕組みがあると言える。

この5つのポイントが揃っている団体であれば、信頼して寄付がしやすいのではないだろうか。

信頼あるNPOを見分けるマーク

しかしもちろん、限られた公開情報の中から、寄付者が毎回上記の5つのポイントを判断するのは難しい。

そこで5つのポイントを含む27基準について寄付者の代わりに第三者が評価・認証しているのが「グッドガバナンス認証」である。

5つのポイントを含む27基準について
寄付者の代わりに第三者が評価・認証している

2021年8月18日に新しくグッドガバナンス認証団体が4つ誕生し、全国の認証団体は40団体となる。NPOの不祥事が気になった際には、ぜひ「信頼のマーク」を確かめてみることをおすすめしたい。

2021年8月18日新規グッドガバナンス認証団体 4団体
・認定特定非営利活動法人 わははネット(香川県)
・特定非営利活動法人 市民後見ひょうご(兵庫県)
・特定非営利活動法人 ひろしまNPOセンター(広島県)
・社会福祉法人 京都基督教福祉会(京都府)

hieirisosshikihyoukasenta

公益財団法人 日本非営利組織評価センター

日本非営利組織評価センターは、NPOの組織評価を行う日本で初めての第三者審査機関です。  グッドガバナンス認証マークはNPOの「信頼の証」。財務が健全である、労務管理は法律に準拠している、不正を防止する仕組みがあるなどの視点に基づく審査を行っています。SDGs達成に向けた協働先、社員のボランティア参加先にもおすすめです。

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