米テスラが電力の小売り販売に乗り出す。2021年8月末、テキサス州の当局に電気小売り販売の免許を申請した。CNNやブルームバーグなど複数のメディアが報じた。テスラはEV生産だけでなくソーラー発電、蓄電池の販売から電力小売りまでの「垂直統合」を目指す。(オルタナ編集部・山口 勉)

テスラの太陽光発電パネル

ブルームバーグの報道によると、テスラ子会社のガンビット・エナジー・ストレージ社がテキサスに容量100メガワット強の蓄電池をテキサス州ヒューストン近郊に建設を進めている。これにより真夏でも2万世帯に電力供給が可能だという。

テスラは今のところ蓄電池を一般家庭に直接販売できていない。しかし今回の小売り免許申請が通れば可能になる。テキサス州は石油や天然ガスの産地として知られるが、EVの登録台数はカリフォルニア州とフロリダ州に次ぐ第3位につけている。

テキサス州は広大な土地と日照量の大きさもあり、ソーラーや風力の発電量はカリフォルニア州に次いで全米2位だ。今回、テスラがテキサス州で電力小売り免許の申請をしたのも、そこに理由がある。

■海外でも電力小売り販売の免許申請へ

テスラは発電から小売り、蓄電池、EVとの連携を一貫して進める「垂直統合」(バーティカル・インテグレーション)を進めている。今回の免許申請もその一環だ。今後、他の州や、日本を含めた海外でも同様の申請をするとみられる。

テスラの戦略はこうだ。ソーラーパネルを自社施設だけでなく、一般家庭、他企業のビルに設置し、「パワーウォールズ」のブランドで販売を始めた蓄電池に接続する。昼間に発電した電気を蓄電し、夜間に使用する。

同社は2017年、オーストラリア南部アデレード近郊にあるホーンスデールで大容量の蓄電池を設置し、グリッド(配電網)に直結して昼間の電力を夜間に送電するプロジェクトも始めた。

このような大容量蓄電池は、いまソーラー発電など自然エネルギーをグリッドに組み込む技術として、世界で注目されている。

テスラは「大容量蓄電池は世界の電力グリッドを大きく変えつつあり、ますます重要になった」とのコメントを公表している。ホーンスデールのような大容量蓄電池とグリッドの接続を世界各地で展開することで、コストの削減と、電力供給の主導権を握りたい考えだ。

米エネルギー当局によると、米国では2021年から23年にかけて、1万メガワット(1000万キロワット)の蓄電池をグリッド接続する予定だ。2020年末には1650メガワットだったので、3年で6倍になる計算だ。

テスラが進める電力の垂直統合とは何を意味するのだろうか。

■テスラの垂直統合は何がすごいのか