貧富格差が顕在化した米国で、富裕層への増税を訴える「TTR」(タックス・ザ・リッチ、富裕層に増税せよ)運動が波紋を広げている。ニューヨークで開いたファション・イベントでは、アレクサンドリア・オカシオ-コルテス下院議員が「TTR」とプリントしたドレスで登場し、議論を巻き起こした。(オルタナ編集部・山口勉)

TAX THE RICH(タックス・ザ・リッチ)と描かれたドレスで登場したオカシオ-コルテス議員(nytimesfashionのインスタグラムより)

イベントはファッション界のオスカーとも言われる「メット・ガラ」で、ニューヨークのメトロポリタン美術館で9月13日に開いた。

米ネットメディア「インテリジェンサー」によると、オカシオ-コルテス議員は「TTR」のスローガンをあしらったドレスを着てメット・ガラに登場し、同議員に対する批判者たちは憤りを爆発させたという。

同議員が「詐欺」や「偽善」、「空虚な政治スローガン」を売り物にしていると非難する声が上がった。これに対して「インテリジェンサーは「批判は主に右派からだが、それだけではない」と伝えた。

オカシオ-コルテス議員(米では頭文字を取ってAOCと呼ばれる)は、ニューヨーク州選出の民主党下院議員で、2018年に初当選し、米史上最年少の女性下院議員となった。

民主社会主義者を自認し、所得税の累進課税を最大70%まで引き上げ、得られる増収分1000万ドルを「グリーン・ニューディール」政策の財源に充てるとする案を表明した。

メット・ガラはメトロポリタン美術館のコスチューム・インスティテュートが主催する資金調達のためのパーティで、招待者のみが参加できる。各界の富裕層が集まることで有名で、参加のためのチケットは、1人あたり3万ドル(約330万円)から5万ドル(約550万円)とも言われる。

そんな場にオカシオ-コルテス議員は富裕層への増税を掲げた衣装で登場し、自身の政策をPRしたのだから、様々な議論が巻き起こるのは当然だ。

「インテリジェンサー」は、批評家たちが考える、彼女の信念とその行動の間にある矛盾について次のように報じた。

「AOCは、金持ちは恐ろしい存在であり、法律で禁止するか殺すべきであると信じているが、彼女は金持ちの間で快適に過ごしている」

ただ、「オカシオ-コルテス議員はわざわざ富裕層のパーティを狙って『TTR』のドレスで乗り込んだ」との見方も根強い一方、同議員を擁護するメディアもたくさんある。