世界的な脱炭素の潮流の中、海運や造船など海事業界でも「脱重油」の動きが急だ。国際海事機関(IMO)は船舶燃料をLNG(液化天然ガス)や再エネに転換して2050年までにCO2を50%以上削減、今世紀中にゼロを目指す。内外の金融機関も、海運業の脱炭素を後押しする「ポセイドン原則」に相次ぎ署名した。(オルタナ編集部=長濱慎、池田真隆、吉田広子、山口勉)

日本郵船のLNG燃料自動車専用船 「Sakura Leader」

■海運各社が相次ぎ「カーボン・ネット・ゼロ」を宣言

日本郵船は21年9月30日、外航海運における温室効果ガスについて、50年までに「ネット・ゼロエミッション達成」を宣言した。今後新造する自動車運搬船の燃料は重油ではなく、すべてLNGに変えることを決めた。

その背景には、自動車運搬船については国内外の自動車メーカーからの要請がある。自動車メーカーにとって、サプライチェーンの炭素排出も自社分にカウントされるからだ。23年には、日本郵船による世界初のLNG燃料大型石炭専用船が竣工する予定だ。

商船三井も今年6月、「商船三井グループ 環境ビジョン2.1」を策定し、50年までにネットゼロ・エミッションを目指す。その一環である「クリーン代替燃料の導入」戦略として、30年までにLNG燃料船約90隻の投入を掲げる。

同社は、LNGのほかにもバイオ燃料や、アンモニアを利用した環境対応船を投入すべく取り組みを加速させていく。21年9月8日には、ロシア・アムール州産メタノールを輸送するためのメタノール燃料船の建造・運航・活用の共同検討に関する覚書を締結した。

川崎汽船は15年3月に策定した「“K”LINE環境ビジョン2050」の中で、30年までに08年比でCO2排出量を50%削減、50年には同年比70%削減する目標を掲げた。

同社は今年 3 月に竣工した初の LNG 燃料自動車専用船に続き、23 年度から 25 年度までに計 8 隻の 7,000 台積み LNG 燃料自動車専用船の調達を決定した。船首部に搭載されたカイト(凧)による風力を利用して推進力を補助する自動カイトシステムの開発も進める。

日本郵船、川崎汽船、商船三井の3社は21年7月、JFEスチールと鉄鋼原料を輸送する大型船3隻について、LNGにする長期輸送契約を結んだ。この船はLNG燃料船としては国内初の、21万トン級の大型船となる。

■次世代船舶燃料のメリットと課題とは