環境問題は人権、ジェンダーギャップと切り離せない

■暮らしから考えるサステナビリティ(3)

国際的に活動する環境NGOが発信するメッセージには、人権やジェンダーギャップに関するものも多い。その理由の一つは、環境汚染や環境破壊の原因となる過度な産業開発や都市開発が、地域住民や先住民の人権や生活を軽視した形で行われるケースが多いことにある。もう一つは、気候変動による影響は居住地やコミュニティーにより異なるものの、社会的弱者ほど受ける被害が大きい傾向にあり、さらに男女間での格差が非常に大きいことがあげられる。また、このような背景から、エコロジーとフェミニズムを統合した「エコフェミニズム」という概念も知られている。(照井敬子)

災害時にジェンダーギャップがもたらす影響

・女性は男性と比較して気候変動による災害で命を落とす確率が14倍もある
・災害後、女性に対するDVや性暴力被害が増加する
・避難所などに、女性に必要な衛生用品やプライベートな空間が用意されていないことが多い、など

こうした事象は、社会のルールや伝統的風習など女性の役割やそのもたらす価値を低く考え、ジェンダーギャップが大きい国に多くみられている。女性の権利軽視や抑圧を背景に、意思決定の主体者が男性であること、女性の識字率が低いため安全情報にアクセス困難となることが、女性が受ける被害を大きくする。

ジェンダーギャップ指数120位の日本

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照井 敬子

薬樹株式会社SDGs推進担当マネジャー・NPO法人Liko-net代表理事 医療という人の命に関わる仕事だからこそ、持続可能な仕組みを大切にしたいとの考えのもとSDGs推進を担う。また、NPO法人としてサステナブルをテーマに生活者に向けた啓発イベントを行う。

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