なぜ企業のCSRに若い世代の取り込みが大事なのか

ニック木村の「今さら聞けないサステナビリティ」(3)

「SDGs」「ESG」「CSR」。サステナビリティを取り巻く状況は日々変化し、新たな用語も増えた。そもそもサステナビリティ領域は、どこから理解すれば良いのだろうか。カシオ計算機で約12年間サステナビリティの管理職を務めた「ニック木村」こと木村則昭・オルタナ総研フェローが「今さら聞けないサステナビリティ」の疑問にお答えする。

なぜ企業は「CSR」に取り組む必要があるのかーーニック木村の「今さら聞けないサステナビリビリティ」(2)はこちらから

【Q3】 企業のCSRには「ミレニアル世代/Z世代の取り込みが大事」などとよく耳にしますが、どういうことなのでしょうか。そんな若い世代に影響力があるとは思えません。

Z世代は特に社会課題や環境課題に対する当事者意識が高い

【A3】 ミレニアル世代の定義はいろいろあってこれという明確なものはありませんが、概ね1980年代の初めから1990年代の中盤くらいまでに生まれた世代だと言われています。 

Z世代も同様に、概ね1990年代の中盤から2010年代の序盤までに生まれた世代です。つまり2021年11月の現時点ではミレニアル世代はおよそ26歳から40歳くらい、Z世代はおよそ10歳から25歳くらいの年齢ということになります。 

ミレニアル世代は、インターネットやIT(情報通信技術)の進化を目の当たりにして人々の暮らしが大きく変革するのを体験した世代であり、Z世代は生まれた時からネット社会で育ってきているデジタルネイティブの世代です。

Z世代の特徴はデジタルネイティブであることのほかに、ダイバーシティを重視するとか、金銭感覚が保守的とか、いろいろ言われていますが、筆者が着目するのは、「社会課題や環境課題に対する当事者意識が高い」という点です。

例えば、「2050年までにカーボンニュートラルを実現」という政府目標ですが、2050年といえば、Z世代がおよそ39歳から54歳を迎える年で、彼らがまさに社会の中核として活躍しているはずの時期に当たります。

筆者と同世代の昭和生まれの中には「2050年なんて自分はどうせ生きてないから関係ないね」などと無責任なことを口にする者もいますが、Z世代にとってはそうではないのです。社会・環境課題はまさに自分事なのです。

有料会員限定コンテンツ

こちらのコンテンツをご覧いただくには

有料会員登録が必要です。

kimuranoriaki

木村 則昭(オルタナ総研フェロー)

1982年上智大学外国語学部英語学科卒業後、2021年5月まで39年間カシオ計算機株式会社に勤務。初めの約27年間はシステム商品の海外営業を担当。その間オーストラリアに約2年、米国に約4年の駐在を経験。その後の約12年間はCSR推進室(後にサステナビリティ推進室)室長としてコンプライアンス及びCSR(サステナビリティ)のグループ内への浸透を推進。グローバルコンパクトの原則に基づき、ISO26000をガイダンスとして、特に「人権」を重点課題として取り組みを進めた。また、2015年にCSRリーダー組織を立ち上げボトムアップによるCSRのグループ内浸透を図った。 2018年度よりオルタナが主催するサステナビリティ(SUS)部員塾の講座「CSR検定3級試験過去問演習と解説」の講師を担当。特定非営利活動法人環境経営学会理事。

執筆記事一覧
キーワード: #CSR#ESG#SDGs#Z世代

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..