■ニック木村の「今さら聞けないサステナビリティ」(5)
「SDGs」「ESG」「CSR」。サステナビリティを取り巻く状況は日々変化し、新たな用語も増えた。そもそもサステナビリティ領域は、どこから理解すれば良いのだろうか。カシオ計算機で約12年間サステナビリティの管理職を務めた「ニック木村」こと木村則昭・オルタナ総研フェローが「今さら聞けないサステナビリティ」の疑問にお答えする。
なぜ中小企業にもCSRが必要なのかーーニック木村の「今さら聞けないサステナビリビリティ」(4)はこちらから
【Q5】SDGsは中小企業に関係あるのでしょうか。「貧困対策」、「飢餓撲滅」、「世界平和」とか当社に関係あるとは思えませんが。
【A5】 SDGsのゴールには「貧困対策」、「飢餓撲滅」、「世界平和」以外にも、「気候変動対策」や「生物多様性への対応」など、地球規模の大きなテーマが含まれていますので、そこだけ見ると、「自分には関係ない」と思いがちですが、実はSDGsと無関係な個人も企業もないのです。
SDGsの「誰一人取り残さない」という理念は、逆に言えば、「誰一人としてSDGsと無関係な人間はいない」、ということでもあり、SDGsの達成には、一人ひとりの理解や主体的な取り組みが重要ということを意味します。
つまり、「誰一人取り残さない」の真の意味は、SDGsのゴール達成の成果が恩恵として全ての人に与えられるという意味だけでなく、全ての人が取り組みに参加してゴール達成に貢献することで成果を一人ひとりが喜びをもって分かち合うことができる、という「双方向のコミットメント」として捉えるべきでしょう。
では、中小企業はSDGsのどの目標に取り組めばいいのでしょうか。
もちろんそれは企業の事業特性にもよりますが、例えば、SDGsには「ゴール5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」という目標があります。
これに企業が取り組むということは、男女平等、女性のエンパワーメントを目指すということですから、もっと具体的に言えば、「男女雇用機会均等法」や「男女同一労働同一賃金」の制度を正しく運用することと、「女性管理職・女性役員の積極登用」に取り組むということです。