完全リサイクルはあり得ない

■論考・サーキュラーエコノミー(14)■
先日、サーキュラー・エコノミー(CE)に関する論文を読んでいて驚いた。「素材、製品そしてシステムをうまくデザインすることによって廃棄物をなくす」と書いてあるのだ。

廃棄物をどう定義するかによって問題の所在は多少微妙になるのだが、それでも確実に言えることがある。それは、「廃棄物をゼロに近づける」ことはできても「ゼロにする」のはできないことだ。資源の完全リサイクルあるいは完全循環利用は不可能なのである。

このことを理解するために、次の事実を押さえておく必要がある。

① 再資源化の工程でほとんどの資源は劣化する(資源劣化の制約)
② 分別回収・収集運搬・再資源化処理にもリサイクル(循環利用)にもエネルギーが必要(エネルギーの制約)
③ 分別回収・収集運搬・再資源化処理するにも他の資源を投入する必要があり費用がかかる(費用の制約)

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細田 衛士(東海大学副学長、政治経済学部教授)

東海大学副学長、政治経済学部教授。1953年生まれ。77年慶応義塾大学経済学部卒業後、同大学経済学部助手、助教授を経て、94年より教授。2001年から05年まで同大経済学部長を務めた。中央環境審議会委員や環境省政策評価委員会委員なども歴任した。

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