サステナビリティ情報開示に関する調査およびコンサルティングを行うサステナビリティコミュニケーション協会(東京・新宿)は1月11日、企業のサステナビリティ関連情報サイトを評価する「サステナビリティサイト・アワード2022」を発表した。最上位となるゴールドには、ライオン、ヤマハ発動機、三菱地所、大成建設、日本製鉄、日立製作所が選ばれた。(オルタナ副編集長=吉田広子)
同協会は、国内全上場企業および非上場大手企業のサイトの情報充実度調査を実施し、8つの評価テーマで総合的に優れたサイトを、ゴールド(最優秀賞)・シルバー(優秀賞)・ブロンズ(優良賞)として表彰している。今回で6年目となる。
社会的責任の開示ガイドライン社会的責任の開示ガイドライン「GRIスタンダード:2016」などの基準を参照し、公開されているサイト情報をアナリストが評価した。
■8つの評価テーマ
1. トップメッセージ:組織のサステナビリティに対する姿勢が理解できるだけの具体的な情報が十分にある
2. 戦略:組織の戦略的な取り組みに関して見識を提供する具体的な情報が十分にある
3. リスクと機会:組織のリスクと機会に関する目標と進捗度の具体的な情報が十分にある
4. ステークホルダーエンゲージメント:エンゲージメント活動の具体的な情報が十分にある
5. 目標と実績:ステークホルダーが組織のパフォーマンスを評価できる具体的な情報が十分にある
6. 企業情報とガバナンス:ステークホルダーが組織を理解するための情報が十分にある
7. ウェブアクセシビリティ:ステークホルダーのユーザー体験を阻害しないサイト構成である
8. サイト特性:サステナビリティ報告で求められる原則に対応したサイト構成である
調査の結果、ゴールドには、ライオン、ヤマハ発動機、三菱地所、大成建設、日本製鉄、日立製作所が選ばれた。
今回のアワードでは、前回に引き続きトップメッセージの評価重要度(評価ウェイト)を高く設定した。同協会は「トップが能動的なメッセージを出せない企業に実効性はない、という考えのもと、トップメッセージは、非財務情報(定性情報)で最も重要なコンテンツの一つとして評価している」とする。
審査員長を務める安藤光展・CSRコミュニケーション協会・代表理事は「例年に増して『SDGs』をコンテンツ名とする企業が増えた。だが、SDGs自体は本来、企業のフレームワークですらないので、情報開示フレームワークとしては適切とは言えない。SDGsを活用するにしてもESGとの整合性を高めるなど工夫が求められる。評価の高い企業の多くは『ESG』『サステナビリティ』という、より広い概念のワードをコンテンツ名に使っていた」と評価する。
「2021年は、IIRC『IRフレームワーク』の改訂から始まり、東証コーポレートガバナンス・コード改訂、GRIスタンダードやTCFDの改訂、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)の開示プロトコル発表、VRF(価値報告財団)『統合思考原則』の発表など、非財務情報開示のフレームワーク/ガイドラインに動きがあった。2022年以降、特に2023年1月から発効のものもあり、サイト構成もグローバル・ルールに合わせる必要もあり、サイト管理担当者には2022年は近年稀に見る変化の年と言える」(安藤代表理事)
アワード表彰企業は次の通り。
●「サステナビリティサイト・アワード2022」表彰企業
<ゴールド>(6社)
ライオン、ヤマハ発動機、三菱地所、大成建設、日本製鉄、日立製作所
<シルバー>(11社)
DIC、SUBARU、TDK、ソフトバンク、ジェイ エフ イー ホールディングス、ベネッセホールディングス、出光興産、日本碍子、日本水産、日本電信電話、日本郵船
<ブロンズ>(25社)
ANAホールディングス、LIXIL、りそなホールディングス、オリエンタルランド、カシオ計算機、リコージャパン、サンゲツ、ニコン、ブラザー工業、ブリヂストン、ローム、コニカミノルタ、ダイキン工業、旭化成、丸井グループ、三井化学、石油資源開発、綜合警備保障、大建工業、第一生命ホールディングス、凸版印刷、富士通、三井住友トラスト・ホールディングス、野村不動産ホールディングス、東洋紡
(訂正とお詫び)
1月13日に配信した「サステナビリティ情報サイト評価、上位にライオンら」の記事で当初、2021年度の評価内容を掲載してしまいました。最新2022年度の評価内容に差し替えました。関係者の 皆さまに深くお詫びいたします。