トンガ噴火は「脱炭素」を止める理由にならない(上)

南太平洋のトンガ諸島での海底火山噴火で、気温低下や冷害への懸念の声が出てきた。SNS上では、「火山噴火でCO2が排出されるので、気候変動対策をしても無意味」との声もある。気候変動に詳しい識者に聞いた。(オルタナ編集部)

火山噴火で「寒冷化」が進むのか

トンガで発生した大規模噴火は、気候にどのような影響を与えるのか。まだ詳しい状況は明らかになっていないものの、1991年に発生したフィリピン・ピナツボ火山噴火の影響で、1993年に日本で冷害が起きたことから、同様の懸念が広がっている。

さらに、地球規模で「寒冷化」が進むとして、気候変動対策(温暖化対策)に否定的な声も上がる。

江守正多・国立環境研究所地球システム領域副領域長は、「例えばピナツボ火山噴火と同様だとすると、火山ガスが大気中で化学反応して硫酸エアロゾルになり、成層圏にしばらく留まる。これが日射を一部遮るため、冷却効果をもたらす」と説明する。

しかし、「エアロゾルは数年でなくなるので、冷却効果も同様になくなる。地球規模の気温低下をもたらす可能性があるが、それは一時的なものである。少なくとも、温室効果ガスの増加による地球温暖化を長期的に逆転させるようなものでは決してない」と指摘する。

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yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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キーワード: #脱炭素

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