コンプライアンスは「法令遵守」だけではない

■ニック木村の「今さら聞けないサステナビリティ」(15)

「SDGs」「ESG」「CSR」。サステナビリティを取り巻く状況は日々変化し、新たな用語も増えた。そもそもサステナビリティ領域は、どこから理解すれば良いのだろうか。カシオ計算機で約12年間サステナビリティの管理職を務めた「ニック木村」こと木村則昭・オルタナ総研フェローが「今さら聞けないサステナビリティ」の疑問にお答えする。

「狭義のコンプライアンス」と「広義のコンプライアンス」がある

CSR の社内浸透5つのステップ(7/7)ーーニック木村の「今さら聞けないサステナビリビリティ」(13)はこちらから

【Q9】「コンプライアンスの遵守」という言葉をよく耳にしますが、法令さえ守ればよいという意味でしょうか?

【A9】 コンプライアンス(compliance)というと一般的には「法令遵守」と訳されますが、正確な訳とは言えません。Complianceの動詞形complyは本来、「関係者の期待や要請に応える」、という意味ですので、「法令遵守」だと「法の要請だけに応える」、という極めて狭い意味になってしまいますので、「法令遵守」は「狭義のコンプライアンス」とも呼ばれます。

逆に「広義のコンプライアンス」は、法令だけでなく、社内規定や倫理行動規範、社会規範、国際基準(いわゆるソフト・ロー)など、法令に規定されていなくても、良き市民として守るべきルール全般を遵守し、社会からの期待に応えることを言います。

コンプライアンスはCSRの1丁目1番地

どんなに立派に社会課題解決に貢献していても、その一方で社会正義に反する行為をしていたのでは企業として高い評価を得ることはできません。長年かけて営々と築き上げてきた企業の信用が、たった一件の不祥事によって一夜にして崩れてしまうことなどあってはならないことです。

そのため、コンプライアンスは正に「CSRの1丁目1番地」、真っ先に取り組むべき課題なのです。

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kimuranoriaki

木村 則昭(オルタナ総研フェロー)

1982年上智大学外国語学部英語学科卒業後、2021年5月まで39年間カシオ計算機株式会社に勤務。初めの約27年間はシステム商品の海外営業を担当。その間オーストラリアに約2年、米国に約4年の駐在を経験。その後の約12年間はCSR推進室(後にサステナビリティ推進室)室長としてコンプライアンス及びCSR(サステナビリティ)のグループ内への浸透を推進。グローバルコンパクトの原則に基づき、ISO26000をガイダンスとして、特に「人権」を重点課題として取り組みを進めた。また、2015年にCSRリーダー組織を立ち上げボトムアップによるCSRのグループ内浸透を図った。 2018年度よりオルタナが主催するサステナビリティ(SUS)部員塾の講座「CSR検定3級試験過去問演習と解説」の講師を担当。特定非営利活動法人環境経営学会理事。

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キーワード: #CSR#SDGs

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