CSR の社内浸透5つのステップ(7/7)

■ニック木村の「今さら聞けないサステナビリティ」(14)

「SDGs」「ESG」「CSR」。サステナビリティを取り巻く状況は日々変化し、新たな用語も増えた。そもそもサステナビリティ領域は、どこから理解すれば良いのだろうか。カシオ計算機で約12年間サステナビリティの管理職を務めた「ニック木村」こと木村則昭・オルタナ総研フェローが「今さら聞けないサステナビリティ」の疑問にお答えする。

CSR
情報公開は、「説明責任」と「透明性」の原則に従うことが重要だ

CSR の社内浸透5つのステップ(6/7)ーーニック木村の「今さら聞けないサステナビリビリティ」(13)はこちらから

【A8-7】今回は、「CSRの社内浸透」のステップ5を紹介します。

「CSRの社内浸透」を図るためのステップ
ステップ1:トップダウン・アプローチ
ステップ2:何を拠り所として進めるのか
ステップ3:サステナビリティ目標とKPIの設定
ステップ4:ボトムアップ・アプローチ
ステップ5:情報公開とコミュニケーション

ステップ5: 情報公開とコミュニケーション

情報公開の原則

ISO26000の7つの原則に「説明責任」と「透明性」があり、「情報公開とコミュニケーション」と密接な関連性があります。「説明責任」と「透明性」の原則とは、ごく大雑把に言ってしまうと、「説明できないことをしてはいけない」、「不都合な事実であっても包み隠さない」、ということです。

近年多発している大企業のスキャンダルは全て、コーポレートガバナンスの機能不全によって引き起こされた、合理的・合法的・倫理的に説明できない事象によるものです。

また、そこまでひどいレベルの内部情報でなくても、企業には、高いと企業イメージが悪くなりそうな数字(公益通報の件数、労災の件数、離職率など)、あるいは逆に、低いとイメージダウンにつながりそうな数字(雇用・管理職・役員の女性比率、障がい者雇用率、男性の育休取得率など)、従ってあまり外に出したくない情報があるものです。

しかし、そういう不都合な事実も包み隠さずに公開することが重要です。そして、問題意識を持って改善に努めていること、具体的な改善目標などを責任ある姿勢で説明することで、評価が下がるどころか、逆に誠実な企業姿勢が評価され、信頼の獲得につながり得るのです。

繰り返しますが、情報公開は、「説明責任」と「透明性」の原則に従うことが重要です。

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kimuranoriaki

木村 則昭(オルタナ総研フェロー)

1982年上智大学外国語学部英語学科卒業後、2021年5月まで39年間カシオ計算機株式会社に勤務。初めの約27年間はシステム商品の海外営業を担当。その間オーストラリアに約2年、米国に約4年の駐在を経験。その後の約12年間はCSR推進室(後にサステナビリティ推進室)室長としてコンプライアンス及びCSR(サステナビリティ)のグループ内への浸透を推進。グローバルコンパクトの原則に基づき、ISO26000をガイダンスとして、特に「人権」を重点課題として取り組みを進めた。また、2015年にCSRリーダー組織を立ち上げボトムアップによるCSRのグループ内浸透を図った。 2018年度よりオルタナが主催するサステナビリティ(SUS)部員塾の講座「CSR検定3級試験過去問演習と解説」の講師を担当。特定非営利活動法人環境経営学会理事。

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キーワード: #CSR#SDGs

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